« “魔法”をレコーディングした名プロデューサーの生涯:『The Ballad of Tommy LiPuma』 by Ben Sidran (2020) | トップページ | Merlon Devine 「Soul Jazz」(2021) »

2021年5月30日 (日)

Randal Clark 「Imaginary World」(2021)

ランダル・クラークは、米国ユタ州ソルト・レイク・シティを拠点に活動するサックス奏者。

ジェラルド・アルブライトやエリック・ダリウスらと共演するジャズ演奏だけでなく、ユタ交響楽団で活躍するなどクラシックの演奏家でもあります。また、ユタ大学で音楽教育の博士号を取得した指導者という、才能あふれる音楽家です。

この作品が、コンテンポラリー・ジャズのデビュー・アルバムのようですが、披露するサックスは技巧と熱量を込めた演奏が光る秀作です。

サポートするのは、ジミー・ハスリップ(ベース、共同プロデュース)、ジェフ・ローバー(キーボード)、ゲーリー・ノバック(ドラムス)、ヴィニー・カウリタ(ドラムス)らで、<ジェフ・ローバー・フュージョン(JLF)>の中核メンバー。

まるで、新たにクラークが加入してパワーアップしたような、JLFならではのとがったグルーヴが随所で展開されます。加えて、フィーチャー・ゲストに、ランディ・ブレッカー(トランペット)、マイケル・トンプソン(ギター)、スコット・キンゼイ(キーボード)らが参加しています。

「Trailblazer」は、まさにJLFらしい疾走するビートと、エネルギッシュで緻密なクラークのサックスが絡み合う、おもわず身を乗り出すハイライト・チューン。

JLF“印”の演奏は、ビートのうねりがスリリングな「Tigar Lily」や、ソフトでも爽快なリズムの「Living Underground」と、「Turbocharged」も腕力くらべのようなパワフルなアンサンブルが聴きどころです。いずれの曲もローバーの作曲です。

一方で、ポップな楽曲も素晴らしい。ローバーとクラークの共作の2曲、「New Day」と「Discovery」は、ソフト・ロック的なムードで上質なポップ曲の印象が焼きつきます。キャッチーなAORという感じの「Boulevard East」(デヴィッド・マン作曲)も、リピートしたくなる佳曲です。

タイトル曲「Imaginary World」では、ピアノ演奏のスコット・キンゼイと、クラークがソプラノ演奏で向かい合うスリリングなジャズ・アンサンブルが絶品。

ちなみに、今作品でローバーは随所でアコースティック・ピアノを弾きこなしていて新鮮です。「Daybreak」はローバー作のミディアム・バラードですが、クラークのソプラノ・サックスとインタープレイするローバーのソフィスティケイトなピアノ演奏は感激をあらためる好演です。

新鋭クラークのサックス演奏は嬉しい発見で、楽曲の良さも充実した推薦盤です。

| |

« “魔法”をレコーディングした名プロデューサーの生涯:『The Ballad of Tommy LiPuma』 by Ben Sidran (2020) | トップページ | Merlon Devine 「Soul Jazz」(2021) »

コメント

山ちゃんです。2か月ほど体調不良でコメントできませんでした。ここに書くか、Richard Elliotに書くか迷いましたが、…。
Rick BraunのアルバムCan you feel itがすごく好きです。更にJLFには、いつもやられっぱなしです。このアルバムは言われる通り、JLFですね。即買いでしたが、ネットで検索できない(ヒットしない)…ということは、マイナーですか?(珍しかったです)。
話が変わりますがRichard ElliotのAuthentic Lifeもかなりいいですね。Summer Madnessも愛聴盤です。つまり、Rick Braunとジェフローバーですよね。JLFの新作が聴きたいです。
変なコメントですみません。

投稿: 山下政尚 | 2021年7月26日 (月) 23時38分

山ちゃんさん、コメントありがとうございます。
このランダル・クラークのアルバムはインディーズなのかプライベートリリースなのかなと。それにしてはJLFのサポートで豪華です。JLFの新作も出たようで期待したいですね。
体調が万全に回復されるようくれぐれもご自愛ください。

投稿: UGASAI | 2021年7月27日 (火) 21時47分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« “魔法”をレコーディングした名プロデューサーの生涯:『The Ballad of Tommy LiPuma』 by Ben Sidran (2020) | トップページ | Merlon Devine 「Soul Jazz」(2021) »