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2021年7月の3件の記事

2021年7月24日 (土)

Brian Simpson 「All That Matters」(2021)

ブライアン・シンプソンの新作は、スティーヴ・オリバーとのコラボ作品「Unified」(2020)をはさんで、ソロ名義としては「Something About You」(2018)以来の9作目となるアルバムです。輝くようなピアノの音粒が際立つ充実作です。

近作では常連の、ニコラス・コール、スティーヴ・オリバー、オリバー・ウェンデルらとのコラボで構成された全10曲。従来と変わらぬ路線とはいえ、それぞれとの共演が円熟度を増してサウンドの完成度に反映されているようです。

ゲストの、ナジー(フルート)、スティーヴ・アラニーズ(サックス)、ロン・キング(トランペット)、ジム・ピサノ(サックス)、ヤロン・レヴィー(ギター)らのソロ演奏も聴きどころになっています。特に、初めて聴くアーティストですが(※)、スティーヴ・アラニーズ(Steve Alanis)のサックス演奏は、輪郭が鮮明な奏音に思わず引きつけられました。

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2021年7月11日 (日)

Ryan Montaño 「Truth Journey」(2021)

ライアン・モンタノは、米国ニューメキシコ州アルバカーキを拠点に活躍するトランペット奏者です。デビュー・アルバム「Something Happened Tuesday」(2013)に続いて、コンスタントに新曲シングルを発表している新鋭アーティスト。

本作は、発表済みのシングル6曲を含んだ最新アルバムです。サックス奏者ダーレン・ラーンが、プロデュース/ミキシングや楽曲共作でサポートしています。

モンタノは同時に、コマーシャルや映画にも出演する俳優やファッション・モデルもこなし、クリエーターとして映像作品を制作するなど、多彩な才能を発揮するマルチ・タレントです。

音楽家としては作曲編曲に情熱を傾けていると述べているように、本作は多彩な曲想と洗練されたサウンドが際立つ会心作です。

サウンド作りは、おそらく一緒に活動するバンド・メンバーが中心で、ユージ・グルーヴ、ブライアン・ブロムバーグ、ヴァンデル・アンドリュー、フィル・デニーらトップ級のミュージシャンもゲスト参加しています。

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2021年7月 1日 (木)

Craig Sharmat & Neil Andersson 「Strings」(2021)

今作は、ふたりのギター奏者、クレイグ・シャーマットとニール・アンダーソン(もしくはアンデション)が、ストリングスをバックに共演したイージー・リスニング・ムードの素晴らしい作品です。

クレイグ・シャーマットは、ソロ名義で4枚のスムーズジャズ・アルバムを発表しています。同時に、作曲・編曲家/プロデューサーとして、映画、TV番組、アニメーションなどの映像作品でも活躍する音楽家です。

ニール・アンダーソンは、60年代のロック・バンド<ファビュラス・ウェイラーズ(The Fabulous Wailers)>の在籍からプロのキャリアをスタートしています。一方で、ファインアートの画家としての道を歩み、多くの受賞歴を有している美術アーティストでもあります。

1993年に、ジプシー・ジャズ・バンド<パール・ジャンゴ>の結成メンバーとなり、20年間におよぶレコーディングや演奏活動に参加しました。現在アンダーソンは「名誉メンバー」となりバンドの活動には参加していないようですが、<パールジャンゴ>は現在も活動中(5人組)で15枚目となる最新アルバム『Simplicity』(2020)をリリースしています。

ジャンゴ・ラインハルトの伝統的スタイルと音楽を継承する、いわゆるジプシー(またはマヌーシュ)ジャズのギター奏者として、アンダーソンは”レジェンド”というべき名手でしょう。

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