Ryan Montaño 「Truth Journey」(2021)
ライアン・モンタノは、米国ニューメキシコ州アルバカーキを拠点に活躍するトランペット奏者です。デビュー・アルバム「Something Happened Tuesday」(2013)に続いて、コンスタントに新曲シングルを発表している新鋭アーティスト。
本作は、発表済みのシングル6曲を含んだ最新アルバムです。サックス奏者ダーレン・ラーンが、プロデュース/ミキシングや楽曲共作でサポートしています。
モンタノは同時に、コマーシャルや映画にも出演する俳優やファッション・モデルもこなし、クリエーターとして映像作品を制作するなど、多彩な才能を発揮するマルチ・タレントです。
音楽家としては作曲編曲に情熱を傾けていると述べているように、本作は多彩な曲想と洗練されたサウンドが際立つ会心作です。
サウンド作りは、おそらく一緒に活動するバンド・メンバーが中心で、ユージ・グルーヴ、ブライアン・ブロムバーグ、ヴァンデル・アンドリュー、フィル・デニーらトップ級のミュージシャンもゲスト参加しています。
全12曲は、モンタノ自身と共作によるオリジナル楽曲です。ジャズやラテン、R&B、ファンクといった要素を盛り込んで、変化に富むアレンジにセンスが光ります。
「Gemini」はシングルとしての最新曲。自身のバンド・メンバー(と思われる)のギター奏者、クラウディオ・トゥルーズ(Claudio Tolousse)との共作。アタックを強調したメロディが哀愁を感じる曲です。
「Burning Boats」は、ポップなフック・メロディーが記憶に焼き付く佳曲。ゲストのユージ・グルーヴは、さすがのオーラでグルーヴを盛り上げるのが聴きどころ。
「I'd Like That」は、モンタノとラーンの共作曲。フュージョンのキレを発揮したリズム・アンサンブルに、モンタノのトランペット演奏がリードする好演。「Soulfully」も、モンタノとラーンの共作曲。アーバンなムードを漂わせて、ドラマチックに展開するホーン・セクションとリズムがかっこいい。
「Never Really Said」は、カントリー・ミュージックを思わせるユニークな曲。スチール・ギターの演奏は、トミー・デタモア(Tommy Detamore)という人。デタモアは、キャリア40年を超えるスチール・ギター奏者で、カントリー音楽の世界ではレジェンドなミュージシャン。シンプルなアコギにソフトなトランペットが重なり、おおらかな情景を描き出します。モンタノのソング・ライターの才能を発揮した秀曲といえます。この曲についてモンタノは、シンガー・ソング・ライター、ジョン・メイヤーのカントリー調曲「Who Says」(2009)からインスパイヤーしたと述べています。
どの曲もメロディやサウンドにソフィスティケートなテイストが満ちて、何度もリピートしたくなる秀作です。これからも上質な作品を作るに違いない、メジャー・クラスへ名を上げる気配も感じます。イケメンの容姿ですから、ひょっとすると俳優業でスターになるかも。
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