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2021年9月 5日 (日)

Mark Jaimes 「Hear At Last」(2021)

イギリス出身のギター奏者マーク・ハイメスは、かつてミック・ハックネル率いるシンプリー・レッドのメンバーとしてツアーやレコーディングに参加していました。アルバムとしては『Blue』(1998)から『Stay』(2007)への一連の作品や、近作『Blue Eyed Soul』(2019)のクレジットにも登場しています。

ソロ活動としては、スムーズジャズ系のアーティスト、リック・ブラウン、ブライアン・カルバートソン、ピーター・ホワイト、カーク・ウェイラム、ユージ・グルーヴらと共演を重ねています。なかでもオリ・シルクとの共演は常連のようで、近作『6』(2020)ではほぼ全曲で演奏に加わっていました。

本作がソロ名義でのデビュー・アルバムですが、輪郭が際立つスリック(なめらかな)なフレージングを発揮した充実作です。アシッドやR&Bの味付けにポップなオリジナル楽曲も素晴らしい佳曲ぞろいで、派手さを強調しない洗練された音づくりは好感度が上がります。

サポート陣は、シンプリー・レッドのセッションにも参加していたダニー・サクソン(キーボード)や、オリ・シルクと彼のリズム・セクションからウェスリー・ジョセフ(ドラムス)といった面子です。その他フィーチャー・ゲストとして、ピーター・ホワイト、リック・ブラウン、パティ・オースティンが参加しています。

「Evenin'」(シルクとの共作)と「Peak Too Soon」は、ファンキーでソリッドなグルーヴに目が覚める好演で、フィーチャーされたシルクのピアノ・ソロが注目ですが、シルクに寄り添いメロディアスなフレージングを奏でるハイメスのベース演奏も聴き逃せません。

「Trigger Happy」は、クリス・スタンドリングを思い起こさせるアシッド・ジャズ風味で、さらにダンサブルに上下に旋回するギターがこの人ならではの曲。「Hear At Last」では、奏音を確かめるように丁寧なシングル・トーンとコード・ワークの交差が印象的な演奏です。「Sidetracked」は、ブルースやジャズの引き出しからソフィスティケートな奏音を流れるように弾きまくります。

カバー曲「Midnight Rendezbous」は、パティ・オースティンがコーラスで参加した曲。ロッド・テンパートンの曲となっていますが、初出は誰の曲なのか見つけられませんでした。都会的でポップな展開はジョージ・ベンソンを彷彿とするナンバーです。テンパートンが曲を提供したミーシャ・パリス(Mica Paris)の『Whisper Prayer』(1993)の頃の曲との情報も目にしましたが、もしかすると未発表曲なのかもしれません。

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コメント

UGASAIさん、こんばんは♪

僕向けのAmazon今週のディスカバリーを聴いてて25曲中でベストはMark Jaimesdだと思い、ネットを検索し、相変わらUGASAIさんの記事に飛んできました。Oli Silkの新譜がぼちぼち待ち遠しいです♪

投稿: Nojee | 2021年9月26日 (日) 19時35分

Nojeeさん、
コメントありがとうございます。
オリ・シルクは最近、このマーク・ハイメスの参加や、プロデュース業で活躍しています。ソロ新作が待ち遠しい、同感です。

投稿: UGASAI | 2021年9月27日 (月) 09時11分

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