Tony Saunders 「All About Love」(2021)
ベース奏者トニー・サンダースの『Sexy Somethin』(2020)は充実した内容の秀作でしたが、早くもリリースされたこの新作も前作を凌ぐ素晴らしい作品です。
前作同様に”アンド・フレンズ”の様相で、スムーズジャズ・ファンにはお馴染みのミュージシャン達が演奏や楽曲共作に参加しています。ゲイル・ジョンソン(キーボード)、グレッグ・マニング(キーボード)、アダム・ホーリー(ギター)、ポール・ジャクソン・JR(ギター)、ブレーク・アーロン(ギター)、ロック・ヘンドリックス(サックス)、ジャズミン・ジント(サックス)、トム・ポリッツァー(タワー・オブ・パワーのサックス奏者)、ブレンダン・ロースウェル(ベース)など、主に西海岸で活躍するアーティストです。
自作や共作のオリジナルにカバーを加えた全14曲で、メンバーを変えたセッションをサンダースのベースが先頭に立って緩急のグルーヴを展開します。サンダースのベースは、繊細に歌うようなリード・プレイから、俊足で疾走するパッセージ、重量級のファンク・フレージングなど、前作以上の躍動感に引き込まれます。
前作のザ・ウィスパーズ80年代の名曲「Rock Steady」のカバーは秀逸でしたが、今作でもお馴染みの代表曲「And The Beat Goes On」を演奏しています。スラップ(チョッパー)・ベースが弾けるビートの津波は圧巻です。この”ウィスパーズ・カバー・シリーズ”は、ザ・ウィスパーズのサポート・メンバーだったというマジック・メンデス(プロデュース、アレンジ、コーラス、演奏)とのコラボレーションで制作されているのも注目です。
「All About Love」は、イギリス出身のベース奏者ブレンダン・ロースウェルとの共作・共演のハイライト・トラックです。ふたりのベースによるインタープレイは、化学反応を誘発しあう緊張感が漂います。複弦奏の重厚でエッジなロースウェルのベースに、流麗な旋律でメロウなサンダースが対比的に絡み合います。フェイド・アウトで終わるのがなんとも残念です。
「Forever Yous」(ゲイル・ジョンソンとの共作曲)や「Celebrate You」(グレッグ・マニング作曲)は、サンダースのショウケースのような楽曲。ビートでもメロディーでも全方位でグルーヴを放射する素晴らしいベース演奏です。
カバーの「The Look of Love」(バート・バカラック)や「Best Part」(カナダ出身のシンガー、ダニエル・シーザーの曲)、オリジナル曲「Just Between Us」と「That Beatiful Lady」(いずれもゲイル・ジョンソンとの共作)は、スウィートでロマンチックな楽曲に仕上げるところもサンダースの魅力が発揮された演奏曲です。
前作の最終曲が「Inerlude」(間奏曲)なのが不思議でしたが、この新作へ続くという”予告”だったのかもしれません。前作と合わせて、連作もしくは2枚組として聴くと、さらに力作の実感が伝わります。
| 固定リンク | 0
コメント
お久しぶりです。Yama chanです。
前作のSexy Somethin(2020)のCDがどうやっても購入できなくて諦めました。その点、すごく残念です。MP3好きでないので…。今作は、早速ネットで検索して確実にGET予定です(明日)。歌うベースが好きなのと、みんなで一緒にグルーブ!!が、好きなので秀逸な作品だと思います。ようやく手に入れられそうで心待ちです。ベースがリードするっていいですよね~。
【最近の話題】
U Nam の新作「love in motion / future love part3」と Pieces of a dream の新作 「Fired Up!」のどちらを買うかを
さんざん悩んで、Pieces of a dream の新作を買いました。ダイナミックさが良くて、これまでにない、いいアルバムだと思います。
雑談すみません。
これからもよろしくお願いします。
Yama chan.
投稿: Yama chan | 2021年10月28日 (木) 22時20分
いつもコメントありがとうございます。
「みんなで一緒にグルーヴ!」がいいですよね。この作品も堪能できます!
推薦のPieces of a Dream の新作は、配信で少し聴きましたが、良さそうですね。さらに聴きこんでみたいと思います。
引き続きよろしくお願いします。
投稿: UGASAI | 2021年10月30日 (土) 10時14分