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2021年10月30日 (土)

Gary Honor 「Momentum」(2021)

オーストラリア出身でシドニーを拠点に活動するサックス奏者ゲリー・オーナーの新作は、前作『Heads & Tales』(2012)から数えておよそ9年ぶりのリリースです。持ち味であるエネルギッシュなブロー・タイプのサックス演奏を発揮した充実作です。

<トリピン・アンド・リズム・レコーズ>に同じく所属する、スキニー・ハイタワーとマイケル・ブローニングとのコラボで制作されました。大半のトラックは、ハイタワーがプロデュースとワンマン演奏、楽曲共作を務めています。ハイタワーが手掛けた多彩なサウンドが、今作の充実度を高めています。

ブローニングは数曲でプロデュースと演奏(キーボード)を務めていますが、リズムとホーン・セクションを従えた重厚なサウンドが光っています。

昨年からのコロナ禍で、レコーディングはいわゆるリモート・ワークを駆使して制作されたようですが、サウンドには臨場感があふれます。ゲストとして、リン・ラウントゥリー(トランペット)、キエリ・ミヌッチ(ギター)、スティーヴ・オリバー(ギター)らが客演しています。

先行して発表された「Bang Bang Bang」(マイケル・ブローニングのプロデュース曲)はひときわにパワフルなハイライト・トラック。ファンク・ビートに乗ってシャウトするサックスが躍動します。

この曲について、オーナーが自身のホーム・ページでコメントしています。オープニング・フレーズは、大ファンだというデビッド・サンボーンに敬意を込めて、サンボーンのデビュー・アルバム『Taking Off』(1975)のオープニング(スタート曲「Butterfat」)を踏まえたそうです。打撃的なホーン・セクションは、<タワー・オブ・パワー>をイメージしてアレンジしたといいます。

「Summer Cool」は、高揚感がアガるポップな佳曲。カリプソ風で軽快なアレンジに、サックスが重なりあって広角に飛びまわります。

レトロなR&Bを思わせる「Momentum」や、フラメンコをモチーフにした「The Pulse」(客演はキエリ・ミヌッチ)、アーバンなムードの「Meet Me In Manhattan」(客演はリン・ラウントゥリー)、ハイタワーのジャジーなピアノ演奏がフィーチャーされた「Smooth Detour」など、魅力的な曲が並びます。何といっても、随所で聴けるパワフルなサックスが聴きどころです。

ちなみに、オーナーはデザインやアニメーションを手掛けるアーティストでもあり、今回自らプロモーション・ビデオを制作しています。3Dビジュアルの手法で作られた映像はユニークで、ユーモラスな演出も楽しいビデオです。

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コメント

(昨日は実は、GARY HONORのコメントを書こうとPCに向かって、なぜかCORY WONGとDAVE KOZの勢いに負けてそちらのコメントを書いてしまいました)
ちょくちょくすみません! Yama chanです。
GARY HONORは2012年頃に「Heads & Tales」を購入候補に入れておきながら買えなかったアーティスト。Skinny Hightowerは2020年の「BLUE MOON」を購入。一機果敢に書いたアルバムという貴殿の言葉通り、少し以前の、ノリのフュージョン系のサウンドで、2枚組の特に2枚目の各曲が小生のお気に入り。
さて、本作ですが、1曲目が始まった瞬間からSkinny Hightowerサウンドが走りまくります。とはいうものの、7.Deep Blue 11.Bang Bang Bang が良い意味でのアクセントになっていて、これがGARY HONORさんのスムーズジャズかな とか思います。13.Alwaysはストレートなドラムリズミングで、これはSkinnyでは出来ないな。とニンマリ。盛り上がり良いですね。9.MoonstreamsのSteve Oliverのギターは聞き惚れます。個人的には、Skinny節が満載の、1.Momentum、3.Red Hot、4.Summer Coolが小生の好みです。
お邪魔しました。これからもよろしくお願いします。

投稿: Yama chan | 2021年12月21日 (火) 23時16分

Yama chanさん、コメントありがとうございます!
ゲリー・オーナーの「Heads & Tales」は良い作品でした。その後新作を待ちましたが、やっと出ましたね。この新作の前に、オリ・シルクの「6」に数曲で客演していたので、新作はシルクのプロデュースかなと思ったら、スキニー・ハイタワー(!)でした。
今度は、ハイタワーの新作でオーナーの登場を期待したいです。

投稿: UGASAI | 2021年12月22日 (水) 22時04分

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