Till Brönner 「Christmas」(2021)
ドイツのトランペット奏者ティル・ブレナーの新作は、ピアノとベースとのトリオ演奏(デュオも数曲)によるクリスマス・アルバムです。
ピアノのフランク・カステニアー(Frank Chasteiner)とベースのクリスチャン・フォン・カペヘンクスト(Christian Von Kaphengst)は、ブレナーの多くの作品に参加しているサポートの常連です。気心の知れた関係がにじみ出るように、3人のアンサンブルは暖かいムードが伝わります。ブレナーは大半の曲でフリューゲルホーンを吹いていて、やわらかい音色が一段と幸福感を膨らませる好演になっています。
ブレナーのクリスマス・アルバムは今作が2作目です。かつての『The Christmas Album』(2007)は、フォン・カペヘンクストとの共同プロデュース作品で、カステニアーも演奏に加わっていました。その3人で再びクリスマス・アルバムを作ったというのも興味深いところです。
今回の選曲は、「Jingle Bells」や「O Tannenbaum(もみの木)」「Still Nacht(きよしこの夜)」などの伝統的な定番曲に、「Jesus to A Child」(ジョージ・マイケル)や「Have Yourself A Merry Little Christmas」「Silver Bells」などのコンテンポラリーな曲も入れた12曲です。
賛美歌「Maria Durch Ein Dornwald Ging(マリア様はいばらの道を歩む)」や、子守唄の「La-Le-Lu」といったドイツでの定番曲を演奏しているのも特徴的です。
「Christmas Time Is Here」はジャズ・ピアノ奏者ヴィンス・ガラルディの有名曲ですが、ゲストにドイツのシンガー・ソング・ライター、マックス・ムツケが歌声を披露しています。
伝統曲や定番曲の数々が、いずれもソフィスティケートで新鮮な味わいに満ちています。3人が曲ごとに単独や共同で担当した編曲がとても素晴らしい。有名曲でもイントロやリズムに独創的でときにユーモラスなアプローチもちりばめて、3人の息の合ったアンサンブルで表現した名演集です。
| 固定リンク | 0
コメント