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2021年12月25日 (土)

Kenny G 「New Standards」(2021)

ケニー・Gの新作は、『Brazilian Nights』(2015)以来約6年ぶりとなるオリジナル・アルバムです。50・60年代のスタンダード曲をオマージュしたオリジナル曲集です。

制作には、長年にわたるサポートの常連ウォルター・アファナシエフ(曲の共作とキーボード)、前作にも参加していたジャズ・ピアノ奏者サム・ハーシュ、ポップスや映画音楽の作編曲家として著名なピアノ奏者のランディ・ウォルドマン、マイケル・ジャクソンやTOTOのセッション・マンで知られたキーボード奏者グレッグ・フィリンゲインズ、多くの映画音楽を手掛けているウィリアム・ロスら、熟練の音楽家が集まりました。

自作と共作による全11曲、いずれもムーディーなバラード曲で、季節がらホリディ・アルバムのような華やかさも感じます。サウンドは、ストリングスやピアノ主体のオーケストレーションがさりげない存在感で、ケニーのサックス(テナー、アルト、ソプラノ)を引き立てています。

時代の名曲を連想する曲名や情緒的なメロディーは、どの曲もエバーグリーンな味わいがあり、”ニュー・スタンダード”の標榜がうなずける完成度です。

演奏は、ケニーならではのロングトーンのソロがたっぷり堪能できます。

「Only You」はゆったりとしたムードに、テナーでもなめらかに奏でる音色がこの人ならでは。「Rendezvous」も、視界が広がるストリングスに、情熱も垣間見せるテナーが印象的。


「Moonlight」はアルトの演奏で、エンディングまでブレーク無しの連続演奏が見事です。「Blue Skies」はソプラノの演奏、ウォルドマンのピアノが寄り添い終始舞うような吹奏が圧巻です。

話題は「Legacy」で、ジャズ界のレジェンド、スタン・ゲッツの演奏をサンプリングした楽曲です。まるでデュエットのように、ゲッツの演奏が加わっています。ゲッツの過去演奏から、サンプリング技術を駆使した成果なのだとか。

かつてケニーは、スタンダード・カバー集のアルバム『Classics In The Key of G』(1999)でルイ・アームストロングとのバーチャル・デュエット「What a Wonderful World」を発表しています。その路線を思わせますが、今回のサンプリングという手法(音を合成したのでしょうか)は賛否両論になるかもしれません。

歴史的なスタンダード曲に匹敵する良質なオリジナル曲と、なにより美しい演奏に魅了されるケニーの新しい代表作です。

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