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2021年12月26日 (日)

第64回(2022)グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」ノミネート作品 ①

第64回(2022)グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」部門賞のノミネート5作品が選ばれました。下記に3作品を紹介します。残りの2作品は、後日紹介します。

受賞作は、2022年1月31日(アメリカ時間)に発表される予定です。

(2022/4/7追記)当部門賞は、Taylor Eigstiが受賞しました。下記★印

1. Rachel Eckroth『The Garden』

レイチェル・エックロスは、シンガー・ソング・ライターとしてクロス・ジャンルなソロ作品を発表しているアーティスト。ジャズにもアプローチしたのが近作『The Blackbird Sessions Vol.1』で、ご主人のベース奏者ティム・ルフェーヴル (Tim Lefebvre)とのデュオでジャズのスタンダードを歌っています。

本作は、おそらく初めてのインスト・アルバム(1曲はボーカル入り)で、全曲でキーボード演奏を披露した意欲作です。

共演するアンサンブルは、ルフェーヴルに加えて、サックス奏者ダニー・マッキャスリン(Donny McCaslin)、ギター奏者ニア・フェルダー(Nir Felder)、ドラム奏者クリスチャン・ユーマン(Christian Euman)ら、いずれも気鋭のジャズ・ミュージシャンです。

「Vines」は、4ビートのビーバップからフリーにへ展開するジャズ演奏。エックロスのエレピ演奏が聴きどころです。「The Garden」は、スリリングなインタープレイと達者なアコピが交差する個性的な佳曲。「Oil」は、プログレッシブ・ロックのようで未知の自然界をイメージさせる独特の音楽世界です。

アバンギャルドな音像と伝統的なジャズも融合して、物語性に引き込まれる魅力的な作品です。

 

 

2. Taylor Eigsti『Tree Falls』★

テイラー・アイグスティは、10代のプロ・デビューから30年を超えるキャリアを有するジャズ・ピアノ奏者。本作は『Daylight at Midnight』(2010)以来11年ぶりとなる新作で、8枚目となるリーダー・アルバム。5曲のボーカル曲(ベッカ・スティーヴンス)を含む、ポップスや現代ジャズを包含した個性的な作品です。

「Sparky」は、速弾リフの繰り返しから打撃的にヒートアップするピアノ演奏が圧巻。共演のサックス奏者ベン・ウェンデルは、バスーン(ファゴット)を吹きこなすジャズ・ミュージシャン。

「Rainbows」は、シンプルなリフをダイナミックに解き放つピアノ・ソロに込められた感情が伝わる好演奏です。

「Hutcheonite」は、ドラムとピアノがハード・ロックのように爆破するエネルギーは風圧を感じるほど。
「Tree falls」は、弦楽奏とドラムスの躍動に、連弾のピアノと浮遊するギターが加わり、リスナーの感情移入を誘うハイライト曲。

平穏でいられない翻弄的なインストから、ボーカル曲のポップな意外性も共存する秀作です。

 

3. Mark Lettieri『Deep: The Baritone Sessions, Vol. 2』

マーク・レッティエリは、スナーキー・パピーに参加しているギター奏者。低音域が特徴のバリトン・ギターを弾きこなします。

ヴォルフペックのスピンオフ・バンド、フィアレス・フライヤーズ(The Fearless Flyers) にも参加していて、ギター奏者コリー・ウォンとはバンド・メイトです。

本作は6作目のソロ・アルバムで、パンデミック下に参加ミュージシャンと音源を交換して完成させたといいます。スナーキー・パピーやフィアレス・フライヤーズで共演するミュージシャンや、TOTOのギター奏者スティーヴ・ルカサーも客演しています。

「Red Dwaf」は、ベース奏者ダリック・ベネット(Daric Bennett)と、スナーキー・パピーのドラム奏者ジェイソン・トーマス(Jason JT Thomas)が加わって、世界を埋め尽くすようなビートの爆発に圧倒されます。

「Star Catchers」は、ハード・ロックからシームレスにファンクへ変身する圧巻の演奏。ヒートアップするブラス・セクションと、ルカサーも加る狂気のギター・バトルにノック・アウトされるはず。

レッティエリのバリトン・ギターがとどろいて、ロックやファンクを束にする怒涛の音楽世界を繰り広げる傑作です。

 

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コメント

Mark Lettieri『Deep: The Baritone Sessions, Vol. 2』が良いですね。
このアーティストは知りませんでした。チェックしてみたいと思います。

投稿: こぽ | 2021年12月26日 (日) 20時03分

Mark Lettieriいいですね。
こういう音のギターがあるんですね、ベースかなと思ってしまいました。

投稿: sugi | 2021年12月26日 (日) 22時08分

コメントをありがとうございます!
マーク・レッティエリも参加するスナーキー・パピーの周辺は、個性的なアーティストが集まっていて注目ですよ。

投稿: UGASAI | 2021年12月27日 (月) 09時10分

Yama chan です。コメントさせてください。
今年は、グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」ノミネート作品に、小生のお気に入りが2作も入ってびっくりです。その二つ目がこちら。
Mark Lettieri『Deep: The Baritone Sessions, Vol. 2』です。
どこかでご紹介いただいていましたでしょうか?本作は小生の次に買うアルバムの筆頭です。
バンド・メイトであるギター奏者コリー・ウォンの作品(Cory and The Wongnotes - "The Paisley Park Session")が好きで、はまっています。
スナーキーパピーは、すごいバンドですよね。彼(マーク・レッティエリ)の演奏もとびぬけていました。
こういう音が好きです。
楽しいアルバムです。ノミネートおめでとうございます。
Yama chan.

投稿: Yama chan | 2021年12月29日 (水) 18時21分

コメントありがとうございます!
今年のノミネート5作品はいずれも素晴らしいと思います。
レイチェル・エックロスも個性的ですが味わい深い作品で感銘しました。注目したいアーティストです。

投稿: UGASAI | 2021年12月30日 (木) 09時06分

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