Ilya Serov 「Just Friends」(2021)
イリヤ・セーロフは、ロシア出身のトランペット奏者でボーカルもこなす気鋭のアーティストです。
ホームページで紹介されている経歴によると、サンクトペテルブルクでクラシックのトランペット奏者として活動のあと、21歳で米国に渡りジャズ・ミュージシャンとして活躍しています。デイヴ・コーズのツアーに参加するなど、ロサンゼルスを拠点に活動しているようです。
ソロ・アルバムは『September in the Rain』 (2013)『Back in Time』 (2018)を発表、本作が3枚目となる新作です。前2作は40年代や50年代中心のスタンダード名曲をカバーした選曲で、ビング・クロスビーやフランク・シナトラを彷彿とするスタイルのボーカルをほぼ全曲で披露した作品でした。
今作はチェット・ベイカーをテーマに、ベイカーが50年代中期に歌った名曲5曲「Just Friends」や「Time After Time」「Everything Happens to Me」などをカバーしています。ベイカーをお手本にしたような、すこし脱力系のソフトな歌声でボーカリストとしての魅力が増しています。サウンドもコンテンポラリーなアレンジを施して、洗練されたムードが漂います。