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2022年2月の3件の記事

2022年2月26日 (土)

Ilya Serov 「Just Friends」(2021)

イリヤ・セーロフは、ロシア出身のトランペット奏者でボーカルもこなす気鋭のアーティストです。

ホームページで紹介されている経歴によると、サンクトペテルブルクでクラシックのトランペット奏者として活動のあと、21歳で米国に渡りジャズ・ミュージシャンとして活躍しています。デイヴ・コーズのツアーに参加するなど、ロサンゼルスを拠点に活動しているようです。

ソロ・アルバムは『September in the Rain』 (2013)『Back in Time』 (2018)を発表、本作が3枚目となる新作です。前2作は40年代や50年代中心のスタンダード名曲をカバーした選曲で、ビング・クロスビーやフランク・シナトラを彷彿とするスタイルのボーカルをほぼ全曲で披露した作品でした。

今作はチェット・ベイカーをテーマに、ベイカーが50年代中期に歌った名曲5曲「Just Friends」や「Time After Time」「Everything Happens to Me」などをカバーしています。ベイカーをお手本にしたような、すこし脱力系のソフトな歌声でボーカリストとしての魅力が増しています。サウンドもコンテンポラリーなアレンジを施して、洗練されたムードが漂います。

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2022年2月20日 (日)

マイケル・ブレッカーをたたえる悲しみの伝記:『Ode to a Tenor Titan:The Life and Times and Music of Michael Brecker』 by Bill Milkowski (2021)

本書は、サックス奏者マイケル・ブレッカー(1949-2007)の生涯をつづった伝記です。著者はジャズ評論家のビル・ミルコフスキー、他の著作にジャコ・パストリウスやパット・マルティーノらの伝記があります。

マイケルは闘病(骨髄白血病)の末、2007年1月13日に永遠の眠りにつきました(享年57)。

マイケルのキャリアでまず思いうかぶのは、70年代の<ドリームス>、フュージョンの先駆的バンドでした。80年代に大活躍した<ブレッカー・ブラザース>は、強烈な熱量に圧倒されたフュージョンのスター・ユニット。続く<ステップス>や<ステップス・アヘッド>は、ジャズの本流を未来的な完成度へ高めたグループでした。数々のソロ作品では、ジョン・コルトレーンのイディオムを進化させた、稀代のインプロヴァイザーとして記憶に焼きついています。

ジャズだけでなく、ポピュラー音楽で多くのアーティストの作品に印象的な客演を残しました。ジェイムス・テイラーやポール・サイモンらの楽曲で披露した、短いながらも数々の名演は忘れられません。

本書の著者は、親交のあった共演者や関係者の膨大なインタビューやマイケルが残したインタビュー記事などを引用して、レコーディングやツアーの足跡を時系列に網羅していきます。音楽的な活動に加えて、交友関係の証言から人間マイケル・ブレッカーを浮き彫りにしたところが、本書の核心でしょう。

家族や友人を大事にして、奥ゆかしくユーモアにあふれた、マイケルの愛すべき人となりがエピソードを紡いで語られます。

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2022年2月 6日 (日)

Jay Rowe 「Groove Reflections」(2021)

キーボード奏者ジェイ・ロウは、サイド・マンとして豊富なキャリアを有するミュージシャン。

リッピングトンズ、スペシャルEFX、ケン・ナバロ、ジェフ・カシワ、スティーヴ・オリバーなど、名だたる多くのアーティストをサポートしてきたベテランです。

なかでもマリオン・メドウズとネルソン・ランジェルとは同郷のコネチカット州出身という関係で、ふたりの1990年前後のデビュー時から長年にわたるサポートの常連です。

ソロ・アルバムも『A Dream I Had』(1994)を初めとして、近年の『Smooth Ride』(2016)まで6作品を発表しています。本作は、オリジナル全10曲からなる7作目になる新作アルバムです。いずれもポップなキー・フレーズが際立つ佳曲ぞろいで、ダイナミックなアコースティック・ピアノがオーガニックなサウンドをひきしめる素晴らしい演奏。

今回のレコーディングには、ネルソン・ランジェル(サックス)、スティーヴ・コール(サックス)ヴィンセント・インガラ(ギター)スティーヴ・オリバー(ボーカル)ジェフ・カシワ(サックス)など、交友関係を裏付ける豪華な顔ぶれが参加しています。

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