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2022年3月13日 (日)

Rick Braun 「Rick Braun」(2022)

トランペット奏者リック・ブラウンの新作は、自身のレーベル<Brauntosoarus> からの初リリース作品です。デビュー作『Intimate Secrets』(1992)から30年目になるタイミングで、自身の名前を冠したタイトルに自信がうかがえます。

自作と共作によるオリジナル10曲は、バラエティに富んだ曲が並んで「ベスト・ヒット曲集」に匹敵する充実度。

「Turkish」はマンボの名曲「タブー」を思わせて、エキゾチックでも洗練したムードが印象的な曲。代表曲になりそうな佳曲です。

「The Color of Love」は、朗々としたフリューゲルフォルンが景色を描写するように響きます。ミディアムテンポのバラード「6th Street」はクールなミュート演奏で、こちらは摩天楼の夜景がイメージでしょうか。

サンバ風の「Back to Mallorca」は、ボーカリストさながらの”歌いっぷり”でオーラを放つ演奏。ちなみにタイトルは地中海のマヨルカ島ですが、『Can You Feel It』(2014)にずばり「Mallorca」という曲がありました。お気に入りのテーマなのでしょう。

ほかにもラテン・バラード「Amor De Mi Vida」に、70年代ソウル・ファンクに回帰した「Da Funk」にいたるまで、エンターテイナーさながらの多彩な展開です。

今回、ストリングスを起用した5曲が光っています。ストリングスの編曲(ブラウンとの共作も)と指揮はニック・レーン(Nick Lane)という人。

レーンはトロンボーン奏者として、80年前後のジャズ・トランペット奏者メイナード・ファーガソンのアルバム数作に参加していました。その後近年まで、セッション・マンやアレンジャーとして、デイヴ・コーズ、ユージ・グルーヴ、ブライアン・カルバートソンなどのアルバムに参加するベテランです。

かつてブラウンの20年前の作品『Esperanto』(2003)では4曲(「Turquoise」など)で、レーンがストリングス編曲と指揮を担当していました。個性的でダイナミックなストリングスは、旧作とリンクして、今回の作品でも輝いています。

「Amor De Mi Vida」では、官能的ともいえるスタッカートの響きが聴きどころ。「The Color Of Love」は、視界を広げるレガートが立体感を支えています。

演奏メンバーは、近作で常連の顔ぶれが中心です。リズム・セクションに、ダリル・ウィリアムス(ベース)エリック・ヴァレンタイン(ドラムス)レニー・カストロ(パーカッション)など。他にもリチャード・フリーモント(フルート)グレッグ・フィリンゲインズ(キーボード)カーネル・ハレル(キーボード)クリス・デイヴィス(キーボード)らも加わり、ブラウン自らキーボードとピアノ・ソロを披露している曲もあります。

中でも、全曲に参加しているギター奏者トニー・プリッツィ(Tony Pulizzi)はキーマンといえる活躍です。曲想を具体化する、多様なスタイルを披露したギター演奏は注目です。

粒ぞろいの楽曲に、演奏とサウンドの細部まで心地よさを極めた秀作です。

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コメント

お久しぶりです。Yama chanです。
リック・ブラウンに、またガツンと来ました。『Can You Feel It』(2014)以来なので8年振りになります。
書かれているように、そのサンバ風の「Back to Mallorca」が気持ちよくて、思わず踊りだしてしまいました。
また、「Turkish」はマンボの名曲「タブー」と言うよりも、ブラスロックの王者「シカゴ」の1995年のアルバム「ナイト・アンド・デイ」の中の「キャラバン」を思い出しました。(当時小生34歳) そのうえ、ハーブアルパートの「ライズ」(1979年、当時小生18歳)を思い出して、久々にLPレコードを聴きました。(レコードって結構 音が良くてびっくりです)
リック・ブラウンがプロデュースしたアルバムや、客演している曲が好きで、GROOVE55の「VOYAGE」(2012)は愛聴盤です。
本作はストリングスのアレンジが優れていますよね、そして、確かに粒ぞろいの楽曲ばかりだと思います。やや日差しが強くなりかけた心地よい日に、上を向いて伸びをしてゆったりとしながら、また、時にはリズムに体を乗せながら聴くのに最適なアルバムです。
これからも引き続き、いろいろな良いアルバムの紹介をお願いします。

投稿: Yama chan | 2022年4月 9日 (土) 00時47分

Yama chan さん、いつもコメントをありがとうございます。
シカゴの「キャラバン」ですか、なるほど!聴きかえしたくなりました。
リック・ブラウンのこの新作は何度もリピートできるベスト級ですよね。

投稿: UGASAI | 2022年4月 9日 (土) 21時56分

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