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2022年4月の3件の記事

2022年4月23日 (土)

Andy Snitzer 「Higher」(2020)

サックス奏者アンディ・スニッツアーの新作(リリースは2020年10月)は、前作『American Beauty』(2015)からおよそ5年ぶりの作品です。

その間も、ジェフ・ローバー・フュージョン(JRF)に参加した『Prototype』(2017)と『Impact』(2018)では存在感を発揮していました。両アルバムの全曲でスニッツアーの演奏が聴けますが、楽曲はすべてジェフ・ローバーのオリジナル(ジミー・ハスリップとの共作を含む)で、スニッツアーの曲が無かったのが残念でした。JRFのスリリングなアンサンブルで、スニッツアーのオリジナル曲が聴いてみたかった。

さて今作では、スニッツアーはオリジナル新曲10曲を披露しています。特徴的ともいえるアンニュイなメロディーやソリッドなサウンドに、今回はポップな味わいが増しています。もちろんソウルフルなサックス演奏も際立つ秀作です。

本作はパンデミックの期間にリモートやダビングを駆使しての制作だったようです。キーボード奏者のアラン・マレット(Alain Mallet)が共同プロデュースを務めてキー・パーソンになっています。マレットは、かなり以前からスニッツアーの作品に参加するサポートの常連です。

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2022年4月10日 (日)

ポップス界の名プロデューサー、リチャード・ペリーの回顧録:『Cloud Nine : Memoirs of a Record Producer』by Richard Perry(2021)

リチャード・ペリーは、1970年代〜80年代に数多くのヒット・アルバムを生み出した、米国ポップス界を代表する人気プロデューサーです。本書はペリー自身による自伝で、手がけたヒット作品を中心に私生活も振り返った回顧録です。

題名の「クラウド・ナイン」とは至福をあらわす決まり文句ですが、ペリーが23歳で始めたレコード制作会社「Cloud Nine Productions」にも命名した言葉です。半世紀を超えるプロデューサー人生が、事業も私生活も成功に彩られた至福の歩みであったことを物語っているようです。

私自身個人的にも愛聴してきたニルソンの『Nilsson Schmilsson』(1971)やカーリー・サイモンの『No Secrets』(1972)、アート・ガーファンクルの『Breakaway』(1975)に加えて、バーバラ・ストライザンド、リンゴ・スター、ポインター・シスターズ、レオセイヤー、ダイアナ・ロス、ティナ・ターナー、ロッド・スチュワートらそうそうたるスター達とのレコード制作に関わるストーリーの数々に引き込まれます。

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2022年4月 3日 (日)

Kim Scott 「Shine!」(2022)

フルート奏者キム・スコットの5枚目となる新作です。前作『Free to Be』(2019)の路線を引きついで、安定感の増したサポート陣とのアンサンブルに、スコットのフルートが優雅に飛翔する秀作です。

前作同様に主な演奏は、ケルヴィン・ウーテン(キーボード、プロデュース)を中心にショーン・マイケル・レイ(ベース)、ジェームズ・”PJ”・スプラギンズ(ドラムス)、エリック・エシックス(ギター)らが固めています。

ゲストに、グレッグ・マニングアダム・ホーリーブレーク・アーロンジョナサン・バトラーらが参加しています。

冒頭を飾る「Back Together Again」(マニングとの共作)は、疾走感のあるリズムに乗ってフルートが飛び回るキャッチーなナンバー。「Shine!」(ホーリーとの共作)はゆるめのテンポに、ギター(ブレーク・アーロン)と交差するクールな佳曲。

「Off The Top」(ウーテンとの共作)は常連メンバーとのアンサンブルが光る、エネルギッシュな表情も見せるスコットのフレージングが絶妙の好演です。

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