« Jonathan Fritzén「Piano Tales」(2022) | トップページ | Chris Standring 「Simple Things」(2022) »

2022年7月31日 (日)

Mike Phillips 「Mike Phillips」(2022)

マイク・フィリップスは、ニューヨーク州マウントバーノン出身のサックス奏者です。10代後半からプロ活動を始めて、およそ25年超のキャリアを誇る演奏家です。

アメリカのプロ・フットボール・リーグNFLで行われる試合前の国歌斉唱セレモニーでは、何度となく独奏を披露していることから、スポーツ・ファンにも広く知られている”サックス・マン”です。(YouTubeでビデオが見られます。)

サイド・マンとして、ジル・スコット、ブーツィー・コリンズ、プリンス、スティーヴィー・ワンダー、マイケル・ジャクソン、らとの共演で実績を残しています。

マイケル・ジャクソンの「Behind The Mask」(2010年『Michael』所収)や、スティーヴィー・ワンダーの「True Love」(2005年『A Time 2 Love』所収)で聴けるサックスは、フィリップスの演奏です。

ソロとしては、デビュー作『You Reached Mike Phillips』(2002)から『Pulling Off The Covers』(2020)まで4枚のアルバムを発表しています。本作が5枚目となるオリジナル最新作です。

前作『Pulling Off The Covers』は、「What a Fool Believes」や「Just the Two of Us」など有名曲のカバー演奏を中心にスティーヴィー・ワンダー(ハーモニカ)やブライアン・マックナイトらゲストを迎えた華やかな作品でしたが、今回は自身の名前をアルバム・タイトルに掲げて、アルト・サックスを吹きまくる直球勝負の会新作です。

絞りだすようなハイトーンのブロウや、ブレスなしで疾走するフレージングなど、個性的なスタイルの持ち味が発揮された内容です。

ほとんどの曲で、新鋭ハミルトン・ハーディン(Hamilton Hardin)が、作編曲/全演奏およびプロデュースを務めてサウンドの中心になっています。多彩な才能を発揮しているハーディンも注目したいアーティストです。

ヒップなダンシング・チューン「Hanging' With Mr.D.」は、フィリップス独特の絞りだすフレージングがヒートアップする1曲目です。

「City Lights」(作者のClaude Villaniは本作のレーベルSRGのCEO)はたたみかけるビートにつかまれるハイライト曲。突き抜けるようなフル・スロットのフレージングに目が覚めます。

「Tyson's Corner (Tyson's Song)」はジャズのコンボ演奏を思わせる曲で、所狭しと跳ねるサックスのスウィング的アプローチは新鮮です。

「Endlessly」は、R&B歌手/マルチ・ミュージシャンのブライアン・マックナイトとのコラボによるバラード曲です。ピアノとハンド・クラッピングの伴奏で、歌うようなフレージングは甘く沁みる魅力にあふれています。

アメリカでは、6月19日の奴隷解放記念日が昨年から新たに祝日に定められました。それを祝して黒人の国歌と呼ばれる「Lift Every Voice And Sing」のカバー演奏で最後をしめています。

各曲3分ほどの全10曲からなるテンポの良い構成ですが、オーラを放つこの人のサックスをもっと長く聴いていたいと思うはずです。

|

« Jonathan Fritzén「Piano Tales」(2022) | トップページ | Chris Standring 「Simple Things」(2022) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« Jonathan Fritzén「Piano Tales」(2022) | トップページ | Chris Standring 「Simple Things」(2022) »