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2022年11月13日 (日)

Boney James 「Detour」(2022)

ボニー・ジェイムスの新作は、前作『Solid』(2020)の進化形を思わせて、ダウンテンポやアンビエント的な静的アプローチのサウンドに、艶とグルーヴを失わないジェイムスのサックスが際立つ秀作です。

サウンドを作り上げているのは新鋭のアーティストとのコラボです。

最近作では度々共演しているジャイラス・モジー(Darius Mozee)や、前作に参加していたビーツ・メイド・バイ・フレッシュ(BeatsMadebyFresh)と、新たにアニカン&ヴェイダー(Anikan & Vader もしくはANKN & VDR)やビッグス&バングス(Bigs & Bangs)らが、曲共作や共同プロデュースに関わっています。

ビーツ・メイド・バイ・フレッシュと名乗るクリスチャン・フレイザー(Christian Frazier)は、ロサンゼルスを拠点に活動するプロデューサー/音楽家。R&B/ラップ/ヒップ・ホップ系のアーティスト、ギャレン(Garren)、マット・マルチネス(Matte Martinez)、スティーヴン・G(Steven G)などのプロデュースを手掛けています。ソロ名義の『Liquid Relaxation』(2021)もリリースしています。

アニカン&ヴェイダーは、ワシントンDCを拠点に活動する演奏家ユニット。ビヨンセと共作の実績もある作曲家/シンガーのディクソン(Dixson)や、ネオソウル系シンガー/作曲家のエリック・ロバーソン(Eric Roberson)らのプロデュース/共演で注目されています。自己名義の『Chocolate City Soul(Vol.1 & 2)』をリリースしています。

ビッグス&バングスは、ロサンゼルスを拠点に活動するプロデュース/演奏デュオ(Michael Hart, Jr.とGreg Reed, Jr.のふたり)です。ゴスペル・シンガーのラティス・クロフォード(Latice Crawford)や、R&B/ソウルシンガーのケニー・ラティモア(Kenny Lattimore)、ラッパー/シンガーのリュダクリス(Ludacris) などのアーティストを手掛けています。自己名義のアルバム『The Theory, Vol.1』(2021)があります。

タイトル曲「Detour」は、ビーツ・メイド・バイ・フレッシュとの共作。甘美なピアノ(Tim Carmon)に対比して、クールに舞うようなジェイムスのサックスが光るベスト・チューン。「Memphis」は、ビッグス&バングスと共作した曲。リズム・セクションの乾いたビートに、ジェイムスのブルース・フレーズで熱量を伝える好演。

「Intention」は、アニカン&ヴェイダーとのコラボ曲。装飾をそぎ落としたサウンドに、ソウルフルなサックスにスポットが当たる佳曲。「Bring It Back」は、ジャイラス・モジーとの共作。客演のトランペットはドンテ・ウィンスロウ(Dontae Winslow)という人で、鋭い緊張感が充満するふたりの掛け合いが聴きどころ。

ジャズやスムーズジャズの本流から離れて、ゴスペルやヒップ・ホップ、R&Bやネオ・ソウル、ダウンテンポなどをクロスオーバーする先進的な音楽性を消化しながらも、ジェイムスの存在感は発揮された素晴らしい作品です。

 

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コメント

好きなSAXプレイヤーの一人です。
そして何気にTrust,Backboneからずっとアルバムジャケットが好きだったりします。
このところ本人の姿だけで。。今回も同じかぁ。。。
久々の新作ですね。Detourはらしさが感じられて、いい感じです。
クールに舞う、その通り。うまい表現ですね。
他も聴いてみます!

投稿: sugi | 2022年11月13日 (日) 17時24分

コメントありがとうございます。最近の作品のつやっぽいサウンドもいいですが、打撃的なビートで吹きまくるジェイムスも聴きたくなりますね。

投稿: UGASAI | 2022年11月14日 (月) 09時54分

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