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2023年5月 5日 (金)

Pelle Fridell 「Mellow」(2023)

Mellow

スウェーデン出身のペレ・フリーデルは、デンマークのコペンハーゲンを拠点に活躍するサックス/マルチリード奏者です。キャリアは30年を越えて、ソロ・アルバムはデビュー作『Go Jaz』(2001)から7作品を数えます。

8作目となる本作は、パンデミック期間に書きためたという12のオリジナル曲がおさめられています。

フリーデルは、エネルギッシュなブローが特徴といえる奏者です。デビュー作ではアバンギャルドなフレージングで先進的な印象を残しました。近年の作品『Soul Go Jaz』(2018)は、ソウルフルな熱量が際立つ秀作でした。今作では、浮遊感を漂わせるクールな演奏を披露しています。

キーボード奏者ニコライ・ベンツウォン(Nikolaj Bentzon)をパートナーに迎えて、ほとんどデュオによる演奏が展開されます。シンセ・サウンドのレイヤーや複数のリード楽器などのオーバーダビングを施して、音空間を深める効果も作り出しています。

ベンツウォンの鍵盤は、フリーデルを引き立てる歌伴さながらの好演で、こちらも聴きどころです。

ベンツウォンも、デンマークで活躍する演奏家です。自身のジャズ・トリオでは正統派のピアノ巧者として、一方<Bentzon Brotherfood>というファンク/フュージョン・ユニットも率いる多才な音楽家です。自らの歌声でジャズ・ボーカルのアルバムも発表しています。

ふたりは、ダニッシュ・レイディオ・ビック・バンド(Danish Radio Big Band)でのメンバーとして旧知の関係のようです。ベンツウォンは、90年後半から2000年初めにかけて指揮者も務めた主要メンバーでした。同時期の後半に、フリーデルの在籍も重なり共演していたようです。

さて本作のスタート曲「Pass it On」は、ジャズ・バラッドのリリカルなインタープレイが展開されますが、SE的なシンセサイザーが奥行きを演出します。

「Longing」は、ドラムと硬質なピアノが生みだす緊張感のなか、ハートウォーミングなサックスが調和する演奏。「Folk」は主題の幻想的な印象に引きこまれて、交差するシンセ音でトリップ感もわき起こる佳曲。

「Beautiful」はソプラノ・サックスによる独奏で、けだるくもピュアな音世界。かすかなエレピが透明感を生みだします。「Brazilian」は、パーカッシブなビートがタイトルをイメージさせて、サックスにからむフェンダーエレピのフレージングがなんとも清涼的で心地いい。

アルバムと同タイトルの曲はありませんが、"メロウ"の妙がたっぷり味わえる秀作です。

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