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2023年9月30日 (土)

Skinny Hightower 「Mind Over Matter」(2023)

Mindover_キーボード奏者スキニー・ハイタワーの新作は、全曲アコースティック・ピアノ演奏を繰り広げる意欲作です。オリジナル楽曲はポジティヴなムードをまとう佳曲がならび、ピアノ演奏はこれまでの印象を変えるエネルギッシュな展開からエレガントな味わいまでさまざまな表情を披露しています。

旧作ではピアノだけでなくオルガンやヴィヴラフォンなどの多様な鍵盤を駆使して、R&Bやソウルのエッセンスで粘着性のグルーヴ感を満たす音楽性でした。

本作では、ジャズの主流派を彷彿とするピアノ演奏に終始して、サウンドは打ち込みやオーバー・ダブ(自身によるドラムとベース演奏)で作り込んでいますが、全編でオーガニックなムードが貫かれています。

ゲストには所属レーベル(トリピン・リズム・レコーズ)メイトのゲリー・オーナー(サックス、フルート)や、ヒップホップ系バイオリン奏者ジョッシュ・ヴィエッティが参加して、いずれも印象深い起用が光ります。

ピアノ演奏で際立つのが、随所で聴かせる左手のコードワークで、そのアタック感とスイング感のある技巧には引きこまれます。(ピアノをリアルにとらえた録音も評価に値します。)

「Mind Over Matter」はキャッチーなハイライト曲。ゴージャスなサウンドをぬって、スイングするピアノが聴きもの。「Groove Factor」は、ピアノのファンキーなフレージングと音粒にはおもわず身を乗りだします。

「After Sunset」はチルアウトなバックグランドに、アタックなコードワークと右手のリリカルなフレージングのブレンドが絶品。

「Brazilian Nights」は、ヴィエッティによるバイオリンのピチカートやオーナーのフルートをフィーチャーしたヒップホップな佳曲。リズムマシーンとストリングスや、ラップ的スキャットも交えた緻密で洗練されたサウンドはハイタワーの力量を裏づけています。

「Square One」はスクラッチノイズから始まり、一気呵成にくり出すパッセージの素晴らしいこと。

最後の曲は、70年代を中心に活躍したゴスペル歌手ウォルター・ホーキンスの名曲「Goin'Up Yonder」のカヴァー。メロウな導入から後半にシャウトするようなフレージングの展開は、本作を締めくくるにふさわしい好演です。

ハイタワーの進化を証明するベスト級の秀作です。

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コメント

いつも素敵なアーチストと楽曲の情報をありがとうございます。
このページを引用して、noteに紹介してもよろしいでしょうか?
よろしくお願いいたします。

投稿: MOH | 2023年10月 1日 (日) 09時26分

当サイトを読んでいただきありがとうございます。
どうぞ、引用してください!

投稿: UGASAI | 2023年10月 1日 (日) 10時12分

連絡が遅くなりました。
記事に引用させていただきました。

投稿: MOH | 2023年10月 7日 (土) 10時19分

連絡が遅くなりました。
記事に引用させていただきました。

投稿: MOH | 2023年10月 7日 (土) 10時20分

引用していただき、ありがとうございます。
今後もよろしくお願いします。

投稿: UGASAI | 2023年10月 7日 (土) 14時48分

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