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2023年9月16日 (土)

Hank Bilal 「Beneath the Covers」(2022)

Beneththecovers ハンク・ビラルは、米国サウスカロライナ出身の気鋭のトロンボーン奏者です。ソロ名義のアルバムを『Essential Elementas』(2015)を始め通算3作品をリリースしています。

この新作はカヴァー曲が中心の企画作品ですが、選曲は70年代後半から2000年始めのR&B曲を中心にした個性的な秀作です。

取り上げているのは、シャラマー、ジャクソンズ、ガイ、ブラックストリート、モンテル・ジョーダン、ジャヒームなど時代をわかせた人気スターたちで、ディスコやニュージャックスウィングからヒップホップまでヒット曲を並べたさまはお気に入りのプレイリストのようです。

全15曲のうち、3曲のオリジナル曲以外は全てカヴァー曲。オリジナルも、2曲は過去アルバムからの再収録で、1曲だけが新曲という変則的な構成です。奔放で生きのいいビラルのトロンボーンが躍動するすばらしい作品です。

曲ごとにむかえたフィーチャー・ゲストも聴きどころです。マイケル・リントン(サックス)ジェフ・ライアン(サックス)ジャズミン・ジェント(サックス)ジャキーム・ジョイナー(サックス)ジェラルド・アルブライト(サックス)マーカス・ジョンソン(ピアノ)フィル・デニー(サックス)ジュダ・シーリー(サックス)アルティア・ルネ(フルート)らスムーズジャズ界のトップ・アーティストが参加した演奏は、"コラボ"アルバムといってもいい内容です。

トロンボーン特有のスラー奏法をあやつるビラルのフレージングはまるでボーカリストのようで、原曲への思いやりを込めた"歌いっぷり"に魅力されます。

「Shake Your Body」(ザ・ジャクソンズ)は、ジュダ・シーリー(サックス)とアルティア・ルネ(フルート)を交えた3人のソロ交換が楽しい演奏。「Groove Me」(ガイ)では、艶っぽいマイケル・リントンとの絡みがクールな好演。「A Night To Remember」(シャラマー)は、ジャズミン・ジェントと盛り上げるオールド・スクール的ビートに揺さぶられます。

オリジナル曲「Keep Holding On」は、ジェラルド・アルブライトが登場するや変わる空気感に注目です。この曲は、ビラル2枚目のアルバム『The Black Aquarias』(2019)に収録されていたトラックで、アルブライトはこの演奏で今年のグラミー賞「ベスト・インプロバイズド・ジャズ・ソロ」部門の受賞候補になりました(残念ながら受賞は逃しました)。ビラルも負けじと光っていて、アルブライト同様に受賞候補レベルの演奏だと思うのですが。

タイトルがあらわすように、まさにカヴァー集を越える充実した作品です。

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コメント

トロンボーンの人のソロってめずらしいですね。
どんな感じかなと思ったら、「歌いっぷり」なるほどです。
"ジェラルド・アルブライトが登場するや" 
こちらも、ほんとにジェラルド・アルブライト!という感じでした

投稿: sugi | 2023年9月16日 (土) 21時35分

コメントありがとうございます。
ジャズ/R&B系トロンボーン奏者では、Trombone ShortyやJeff Bradshawがメジャー級ですが、このひとも今後注目です!

投稿: UGASAI | 2023年9月17日 (日) 17時05分

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