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2023年12月24日 (日)

第66回(2024)グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」ノミネート作品 ①

第66回(2024年度)グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム部門」のノミネート5作品が発表されました。受賞作品の発表は、2024年2月4日です。→(24/2/5追記)『As We Speak』が受賞しました。

  • 『As We Speak』Béla Fleck, Zakir Hussain, Edgar Meyer, Featuring Rakesh Chaurasia

バンジョー奏者ベラ・フレックは、グルーグラスに留まらずジャズやロックにクラシックなど多様なジャンルを超えて活躍する音楽家。グラミー賞でも、カントリーやワールド・ミュージックなど異なる部門で多数の受賞を誇ります。

本作はフレックが、こちらもマルチ・ジャンルで活躍するベース奏者エドガー・メイヤー、インド出身のタブラー(インドの伝統的太鼓)奏者ザキール・フセイン、バンスリー(インドの伝統的バンブーフルート)奏者ラケーシュ・チョウラシアらと組んだ演奏集。フレック、メイヤー、フセインの3人はかつて共演アルバム『The Melody Of Rythm』(2009)を発表していて、今作は14年ぶりのリユニオンとなります。

インドや中央アジアの民族音楽を基軸に、4人が濃厚なインタープレイを展開します。フレックのバンジョーは、ブルーグラス楽器の属性を忘れさせる好演。

「Pashoto 」(フセイン作)では、タブラーとシンクロするパーッカッシブな奏法を披露するバンジョーは圧巻です。この曲は、今回「ベスト・グローバル・ミュージック・パフォーマンス部門」にもノミネートされています。

また、「ベスト・グローバル・ミュージック・アルバム部門」にノミネートされた『This Moment』は、ギター奏者ジョン・マクラグリンが率いる歴史的ユニット、シャクティの46年ぶり再結成スタジオ・アルバムで、こちらにはオリジナル・メンバーであるフセインが参加しています。

 

  • 『On Becoming』House Of Waters

ハウス・オヴ・ウォーターズは、ハンマーダルシマー(ピアノの原型ともいわれる打弦楽器)奏者マックスZT(Max ZT)と日本人の6弦ベース奏者モト・フクシマがニューヨークを拠点に活動するユニットです。ドラム/パーカッション奏者(アルバムごとに異なります)を加えたトリオが基本編成のようです。

2008年に活動開始してプライベートで数枚のアルバム・リリースした後、2016年からマイケル・リーグ(スナーキーパピー)が主催するレーベルGroundUP Musicに参加して初作『House of Waters』を発表。本作がフル・アルバム3作目となります。今作のドラム奏者はアントニオ・サンチェス(Antonio Sanchez)がつとめています。ゲストで、ギター奏者マイク・スターンとインド出身女性歌手プリヤ・ダルシーニ(Priya Darshini)が加わる曲もあります。

ハープや琴を思わせるハンマーダルシマーの琴音と、滑るように中低音を紡ぐ6弦ベースが絡み合うインタープレイは幻想的な音空間を作り出しています。「705」では、ドラミングの緩急が世界観を広げる大役を担って、プログレッシブ・ロックの熱量がよぎる刺激も伝わります。

マックスZTはインドで2年間、サントゥール(ダルシマーと同類の打弦楽器)の名手と評されるレジェンド奏者シヴ・クマール・シャルマの教えを受けたそうです。

ちなみにシャルマは、マクラグリンが率いたシャクティの再編ユニット、リメンバー・シャクティによるライブ盤『Saturday Night In Bombay』にゲスト参加していて、ザキール・フセインとも共演しています。

 

  • 『The Layers』Julian Lage

現在のジャズ界で最も評価の高いギター奏者のひとり、ジュリアン・ラージは近年、ホルへ・ローダー(ベース)とデイヴ・キング(ドラムス)と固定トリオで作品を発表しています。

『Love Hurts』(2019)『Squint』(2021)『View With A Room』(2022)と続いて、本作は前作と同じセッションからの6曲(ラージのオリジナル)を収録した作品です。前作同様、ゲストにギター奏者ビル・フリーゼルが数曲に加わっています。

前作の続編とはいえ、アコースティック・ギターを演奏したトラック3曲が入っていたり、ラージとローダー、ラージとフリーゼルのデュオが各1曲あるのが、今作の印象を個性的にしています。

「Double Southpaw」(ローダーとのデュオ)は、せいひつな空気感が満ちる室内楽的な味わいが秀逸な演奏曲。「The Layers」では、東欧の民族音楽を思わせる音階を織り交ぜて、フリーゼルが加わった4人による静かに均衡したアンサンブルに引き込まれます。

 

 

この他のノミネート作品

  • 『Jazz Hands』Bob James
  • 『All One』Ben Wendel

は次回以降の記事で紹介します。

 

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