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2024年1月 5日 (金)

第66回(2024)グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」ノミネート作品 ②

•『Jazz Hands』Bob James

キャリア60年越えを誇る大御所ボブ・ジェームスの新作は、ヒップホップ界からのアーティスト、ラッパー/歌手のシーロー・グリーンやターンテーブルリストのDJ・ジャジー・ジェフとの共演が話題となった久し振りのソロ名義アルバムです。

グリーンのボーカルをフィーチャーした「Jazz Hands」や、ジャジー・ジェフとキーボード奏者カイディ・テイサム(Kaidi Tatham)との共作「That Bop」は、ヒップ・ホップやブロークン・ビーツといった新潮流と融合してみせたハイライト曲。

近年のツアーで同行しているリズム隊、マイケル・パラッツォ(ベース)とジェイムズ・アドキンス(ドラムス)が今作でサポートを固めていますが、「The Alchemist」(パラッツォ作)はその3人の美技によるリリカルなポストモダン的ジャズ・アンサンブル。「The Otherside」のアコピや、「Mophead」でのフェンダー演奏は、長年聴きなれたジェームス印すいぜんのフレージングがひかります。

サックス奏者デイヴ・コーズが客演した「Come Into My Dream」や、ライヴ録音の「Sea Goddess」ではサックス奏者トム・ブラクストンが加わって、スムーズジャズ・ファンなら聴きのがせない好演。84歳にしてなおダイナミズムを失わない音楽性を発揮した傑作です。

 

All_one•『All One』Ben Wendel

サックス奏者ベン・ウェンデルは、学生時代に結成したジャズ・バンド、ニーボディ(Kneebody)の一員であり、並行してソロ演奏や作曲編曲の才能を発揮する注目のアーティストです。

この新作は、ウェンデルのひとり多重録音(サックス、ファゴット)を中心に、ゲストを加えて独創的なパフォーマンスを発揮した作品です。

サックスとファゴットによる重奏は、クラシックのリード楽器によるアンサンブルを連想するアプローチですが、ひとりの多重録音を駆使してコンテンポラリーな楽曲に仕上げた唯一無二のスタイルといえます。

ひとり重奏は、ソロ・デビュー作『Simple Song』(2009)ですでに披露していました(「A Flower Is a Lovesome Thing」)。また、YouTubeでも同様のスタイルでいくつかのスタンダード曲の演奏を発表していたこともあり、今回の作品に結実したのだ思われます。

ボーカルに、セシル・マクロリン・サルヴァントを迎えた「 I Loves You Porgy」や、ホセ・ジェイムスとの「Tenderly」のスタンダード名曲のカヴァーは本作のハイライト曲でしょう。

オリジナルのインスト曲「Wanderers」は、テレンス・ブランチャード(トランペット)をゲストに、自身のサックスとファゴットの重奏でビート感も放つ出色の演奏。「In Anima」は、ピアノ奏者ティグラン・ハマシアンとくり広げる即興的なインタープレイが圧巻の好演です。

 

さて受賞作は、『Jazz Hands』を熱望しますが、独創的な『All One』も評価に値する作品とも思いますし。音楽性が異なるとはいえ『As We Speak』は強力なライバルかなと予想します。

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コメント

いろいろ楽しい音楽の紹介をいつもありがとうございます。
Ben Wendelなんだか引き込まれました。
凄い独創的なスタイルですね。驚きました

投稿: sugi | 2024年1月 5日 (金) 22時45分

コメントをありがとうございます!
異色のパフォーマンスですが、不思議な魅力の作品だと思います。

投稿: UGASAI | 2024年1月 6日 (土) 09時23分

あけましておめでとうございます。Yama chan です。
『Jazz Hands』Bob James いいですね!聴いてて深夜になりました。
良くも悪くも、どこを切ってもBob James! 聴いて直ぐに、あっ!Bob James!
弾き方、音の出し方、曲作り Bob James! スグわかるゾ なんでやろ…
個人的には、Sea Goddess の力演がピカイチ。

まだCDプレーヤーを持っていなかった1983年ごろ、Foxie, THE GENIE (TAXI),
The Swan をレコードで買って、いまだに愛聴盤です。
小生のBob Jamesベストは、2002年の「Morning, Moon, & Night」。
さほど有名作ではないかも…ですが、車の中で20年以上の愛聴盤です。
チャックローブ、ポールブラウン他のプロデュースを9曲含みます。

今年も良いアルバムを、どんどんご紹介お願いします。Yama chan。

投稿: Yama chan | 2024年1月 7日 (日) 01時14分

Yama chan さん、コメントありがとうございます。
自分にとっては、ベタですが「Touchdown」が永遠の愛聴盤です。
「Morning, Moon & Night」はぜひ聴いてみます。
Bob Jamesはグラミー賞ノミネート多数ですが、単独名義では「受賞」無しとのこと。(Earl KlughとDavid Sanbornの共作のみ)今回の充実作でぜひ受賞してほしいです!

投稿: UGASAI | 2024年1月 7日 (日) 14時32分

Yama chan です。
「Touchdown」1978ですね!Angela入ってますね。これもTaxiのテーマ。
良い良い、2曲目のTouchdownもっと良い、Caribbean Nightsなんて酔います。
当時から、旧作は買わない(アーティストの最新作しか買わない)という主義
でしたので持ってません。きわどいですが、52ndSTREET(BILLY JOEL 1978)
あたりが、小生の洋楽爆買いデビューです。以降ず~っと続いてます。
独り言みたいですみません。
これからもよろしくお願いします。Yama chan

投稿: Yama chan | 2024年1月 8日 (月) 16時52分

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