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2024年3月17日 (日)

Marc Jordan 「Waiting For The Sun To Rise」(2023)

カナダのマーク・ジョーダンはキャリア40年を超えて、76歳の今も現役のシンガー・ソング・ライターです。70年代後半に人気をあつめたAOR系アーティストのひとりとして注目されました。デビュー作『Mannequin』(1978)や2作目『Blue Desert』(1979)はAOR時代を代表する必聴盤でしょう。

初期の西海岸サウンドの方向性は、以降は時代をへてロックからカントリー色に傾いても数々の良作につながり、時にはジャズ寄りのアプローチも聴かせるなど幅広い音楽性で歌作りをつづけています。

近年は、70歳をむかえて発表した『Both Sides』(2019)はポップスやスタンダードを取りあげて円熟したボーカリストの妙を発揮した作品でした。直後の『He Sang She Sang』(2022)では奥さまのエイミー・スカイと組んで王道的なデュエットで光るハーモニーを聴かせてくれました。

ちなみに『He Sang She Sang』は、カナダのグラミー賞とたとえられるジュノー賞の2022年度アダルト・コンテンポラリー・アルバム部門のノミネート作品に選ばれています(受賞はマイケル・ブーブレ『Higher』でしたが)。

さて、この新作はオリジナル楽曲(共作)を中心にした久しぶりの作品。ストーリー・テリングな歌の流儀をつらぬいて、歌唱の魅力とドラマチックな編曲もすばらしい作品です。

『Both Sides』のプロデュースを担当したカナダの作編曲家ルー・ポマンティ(Lou Pomanti)が今作でも制作をになっています。ポマンティはTVや映画の作編曲を中心に活躍して、カナダのアーティスのマイケル・ブーブレやマット・ダスクらのプロデュース業もつとめています。

ほとんどの楽曲はポマンティの美しいピアノ演奏が先導するイントロからはじまり、ジョーダンの味わい深い歌にストリングスやオーケストレーションが加わりもりあがります。ゲストではランディ・ブレッカー(トランペット)が数曲でソロ演奏を披露しているのも聴きどころ。

「Coltrane Plays The Blues」は、コルトレーンの同名アルバム(1962年)をタイトルにしたオリジナル楽曲(ジョーダンとジョン・キャペックの共作)で、ジャージーなムードでの歌いっぷりが際立つ佳曲。歌詞のキーフレーズ「コルトレーンがブルースを演ってるあいだ一晩中ぼくらは踊っていた」がクールにひびきます。

ところで、ジョーダンの過去曲に「Charlie Parker Loves Me」(『This is How Men Cry』収録)という曲があります。(ロッド・スチュアートもカヴァーしています。)ジャズ・レジェンドをモチーフにした2作目というのも興味がひかれます。(どちらもカナダの作曲家ジョン・キャペックとの共作)

3曲のカヴァー、「Everbody Wants To Rule The World」(ティアーズ・フォー・フィアーズ)に「The Moon’s A Harsh Mistress」(ジミー・ウェッブ)「The Downtown Lights」(ブルー・ナイル)という選曲とジョーダンの歌にグッときます。

ジョーダンの音楽世界を味わうには歌詞の理解がおすすめですが、ポマンティによるサウンドとジョーダンの歌唱はあまりある魅力がつたわる秀作です。(CDには歌詞が付いていませんが、配信サービスではほぼ全曲の歌詞表示ができます。)

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