Blake Aaron 「Love and Rhythm」(2024)
スムーズジャズ系のトップ級ギター奏者のなかで、ノーマン・ブラウンを筆頭にニルスやアダム・ホーリー、ユー・ナムらは、テクニックもさることながらシャッフルなビートにポップなフレージングとグルーヴィーなリフをくりだすゴールデン・スタイルが共通のアーティスト。そして忘れてはいけないのがもうひとり、ブレーク・アーロンです。
ブレーク・アーロンの7枚目となる新作は、前作『Color and Passion』(2020)以降に発表したシングル曲に新曲を加えたアルバム。既発表のシングル6曲のほとんども、若干ですが尺が長めのトラックで終盤のフレージングが長めに収録されています。
プロデュースはアーロン自身に加えて、アダム・ホーリーやグレッグ・マニングが曲ごとに手がけて、演奏にはデヴィッド・マンのホーン・セクション、エリック・ヴァレンタイン(ドラム)、メル・ブラウン(ベース)ジミー・レイド(サックス)ドナルド・ハイズ(サックス)らスムーズジャズ・セッションで人気の面子が参加しています。
シングルで発表済みの曲は、いずれもポップな味付けのキャッチー・チューン。スタートの「Dreamland」から6曲目の「Big Bounce」(シングルより1分長いトラック)まで、ワクワクするグルーヴが連続するヒット・パレードのおもむきです。
新曲「The Way You Sway」は、ラムゼイ・ルイスの「Sun Goddess」の記憶が横切る心地いいベスト曲。なによりアーロンのメロウな演奏にはうっとりして、リピート間違いなしです。
最後を飾る2曲「Rise」と「After Ego」は、ポップなエッセンスからは離れてフュージョン/コンテンポラリー・ジャズのアプローチを聴かせます。「After Ego」は、ゲストにイエロージャケッツのボブ・ミンツアー(サックス)とウィル・ケネディー(ドラム)が参加したアンサンブルで、硬派なセッションを展開します。
前回記事で紹介したショーン・Uのアルバムはアーロンがプロデュースを手がけていました。ポップなテイストは共通していますが、本作はジャズ寄りの音作りも注目です。
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