スムーズジャズの誕生を証言するケニー・Gの自叙伝:『Life in the Key of G』by Kenny G(2024)
スムーズジャズを代表するスター、サックス奏者ケニー・G(本名ケネス・ゴアリック)による本書は、音楽経歴に限らず、家族や子育て、ゴルフ熱や飛行機操縦、大統領も登場する交友録、演奏家としての姿勢観や人生観もまじえて、豊富な話題を横断する自伝(共著フィリップ・ラーマン)です。屈託のない語り口(口述記録のよう)と、展開の面白さに終始引きこまれました。
音楽経歴では、アマチュアからプロにいたるキャリアの道のりから、世界各地をめぐるツアーの回顧や、自身のレコード作品については大ヒット作『Duotones』(1986)から最近作『New Standards』(2021)まで、各作品の制作秘話やヒットメーカーならではの苦楽を披露しています。
故郷シアトルでのローカル・バンドから、ジェフ・ローバーのバンド・メンバーとなり活躍したのち、スター街道を登るきっかけとなる曲「Songbird」にまつわるエピソードは特に印象に残ります。