カテゴリー「サックス」の142件の記事

2022年6月19日 (日)

Najee 「Savoir Faire」(2022)

サックス奏者ナジーの新作は、ジャケットで着こなす色あざやかなシャツように、多彩な聴きどころが満載の充実作品です。

ベテランから新鋭まで多様なアーティストとのコラボレーションやセッション、オリジナルからカバー曲にいたるバラエティな選曲、ソフィスティケートで洗練されたサウンド、隅々まで魅力的な内容です。

「Dr.Dolittle」は、70年代後半から活躍しているジャズ・ピアニストのフランク・ウィルキンスを迎えた、ウィルキンスのオリジナル曲の演奏です。ナジーのリリカルなソプラノが主役ですが、ウィルキンスのファンキーなピアノ・ソロも光っています。

「Valentine Love」は、70年代に活躍したベース奏者マイケル・ヘンダーソン作の名曲(オリジナルはヘンダーソンとジャン・カーンのデュエット)。ソウルフルなボーカルは、80年代に活躍した女性R&B歌手のアリソン・ウィリアムズ。ナジーの、シルキーでも艶のあるソプラノ演奏が絶品です。

「Bottom to the Top」は、多くのセッションで活躍するベース奏者デヴィッド・ダイソンのオリジナル曲。ナジーは中盤からテナーに替えてフルートを演奏しています。ダイソンのダイナミックなチョッパーに目が覚めます。

新鋭キーボード奏者マーク・ハリスIIとのコラボは、ハリスのオリジナル曲「Luna」。闊達にはねまわる個性的なハリスのピアノと、おおらなナジーのフルートがからんだ痛快なインタープレイです。

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2022年5月15日 (日)

Zolbert 「Focus」(2022)

ゾルバート(本名アルベルト・ゾルタン Albert Zoltán) は、ハンガリーで活躍するサックス奏者です。

2013年ごろから、ジャズ・コンテストの受賞や多くの演奏パフォーマンスでハンガリーのジャズシーンで注目を集めたようです。

レコーディング作品は、デビュー作『One』(2015)と『Inside Out』(2017)の2枚のスタジオ・アルバムに、ライブ演奏集『Live』(2018)を発表しています。

スタジオ・アルバムの制作では、同じくハンガリーのスムーズジャズ・ユニット、ピート・プロジェクトのリーダーであるピーター(ピート)・フェレンツ(Péter Ferencz)がプロデュース、演奏、楽曲共作で強力なサポートを務めています。

今回の新作も、フェレンツを筆頭に、ハンガリーのミュージシャンを布陣にして制作されました。

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2022年5月 5日 (木)

Darren Rahn 「Rock The World」(2022)

サックス奏者ダレン・ラーンの本作は、デビュー作『Soulful』(2004)から数えて7枚目となる新作です。

6枚目の前作『Hymns from the Heart』(2018)は、伝統的な賛美歌やゴスペル曲を、セルフ・ダビングによるピアノとのデュエットで演奏した作品。イースター(復活祭)を祝して制作したというスピリチュアルな企画作品で、ヒーリング・ムードにひたれる秀作です。

そして今作は、路線的には5枚目の『Sonic Boom』(2016)以来久しぶりのエネルギッシュなサックス演奏とサウンドが聴ける作品です。キャッチーなオリジナル曲も佳作揃いで、隙のない力作です。

サポートでは常連のふたりメル・ブラウン(ベース)とタレル・マーティン(ドラムス)に加えて、アダム・ホーリー(ギター)ポール・ジャクソン・ジュニア(ギター)アレン・ハインズ(ギター)らが演奏を固めています。フィーチャー・ゲストに、デイヴ・コーズ(サックス)ブライアン・ブロムバーグ(ベース)ブライアン・カルバートソン(ピアノ)らも参加しています。

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2022年4月23日 (土)

Andy Snitzer 「Higher」(2020)

サックス奏者アンディ・スニッツアーの新作(リリースは2020年10月)は、前作『American Beauty』(2015)からおよそ5年ぶりの作品です。

その間も、ジェフ・ローバー・フュージョン(JRF)に参加した『Prototype』(2017)と『Impact』(2018)では存在感を発揮していました。両アルバムの全曲でスニッツアーの演奏が聴けますが、楽曲はすべてジェフ・ローバーのオリジナル(ジミー・ハスリップとの共作を含む)で、スニッツアーの曲が無かったのが残念でした。JRFのスリリングなアンサンブルで、スニッツアーのオリジナル曲が聴いてみたかった。

さて今作では、スニッツアーはオリジナル新曲10曲を披露しています。特徴的ともいえるアンニュイなメロディーやソリッドなサウンドに、今回はポップな味わいが増しています。もちろんソウルフルなサックス演奏も際立つ秀作です。

本作はパンデミックの期間にリモートやダビングを駆使しての制作だったようです。キーボード奏者のアラン・マレット(Alain Mallet)が共同プロデュースを務めてキー・パーソンになっています。マレットは、かなり以前からスニッツアーの作品に参加するサポートの常連です。

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2022年3月27日 (日)

Daryl Beebe 「Better Together」(2021)

デトロイト出身のサックス奏者ダリル・ビービの本作は、躍動感あふれる痛快な作品。

ビービの録音作品のスタートは、幼なじみだというサックス奏者ハリー・パットン(Harry Patton)と組んだゴスペル・ユニット<パートナーズ・イン・クライスト(Partners in Christ)>でした。アルバムは「The Covenant Project」(2006)と「Called」(2010)の2作品を発表しています。

その後、ソロとしてアルバム「The Daryl Beebe Project: Seasons Change」(2018)を発表。本作がソロ・アルバムの2作目になります。

サックスのスタイルはパワー・ブロウが特徴で、ソウルフルでエネルギッシュな演奏です。

キャッチーな「Road Trip」はヒット性充分のハイライト・チューン。グルーヴィーに飛び跳ねるテナー・サックスに思わず引き込まれます。かたやソプラノ・サックスでムードを盛り上げるのがミディアム・バラードの「Uninhibited」。

「Breathe」はメロウなソウル・チューンで、艶のある奏音でドライブするフレージングが聴きどころ。

「Unmasked」は自身のサイトでの紹介によると、コロナ禍のいまを引き合いに「マスクを着けていたらお互いを分かり合えないけれど。たとえマスクを着けていても微笑みの眼差しを忘れずに。」とメッセージを込めた曲。リズム・セクションのソリッドなビートをまとってスイングするサックスの疾走感がすばらしい好演です。

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2021年12月25日 (土)

Kenny G 「New Standards」(2021)

ケニー・Gの新作は、『Brazilian Nights』(2015)以来約6年ぶりとなるオリジナル・アルバムです。50・60年代のスタンダード曲をオマージュしたオリジナル曲集です。

制作には、長年にわたるサポートの常連ウォルター・アファナシエフ(曲の共作とキーボード)、前作にも参加していたジャズ・ピアノ奏者サム・ハーシュ、ポップスや映画音楽の作編曲家として著名なピアノ奏者のランディ・ウォルドマン、マイケル・ジャクソンやTOTOのセッション・マンで知られたキーボード奏者グレッグ・フィリンゲインズ、多くの映画音楽を手掛けているウィリアム・ロスら、熟練の音楽家が集まりました。

自作と共作による全11曲、いずれもムーディーなバラード曲で、季節がらホリディ・アルバムのような華やかさも感じます。サウンドは、ストリングスやピアノ主体のオーケストレーションがさりげない存在感で、ケニーのサックス(テナー、アルト、ソプラノ)を引き立てています。

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2021年11月 7日 (日)

Vincent Ingala 「Fire & Desire」(2021)

サックス奏者ヴィンセント・インガラの7枚目となる新作は、賞賛の意味を込めて、ポップスのカテゴリーでも評価されるべき「ポップ・インストゥルメンタル」の傑作だと思います。

全ての演奏と作編曲を自身で手がけるスタイルはいつも通りですが、今回は徹底してワンマンで作られています。ゲストも、ウォルト・ジャクソン(トランペット)がひとりクレジットされているだけです。コロナ禍の事情でのレコーディングと想像できますが、サウンドは完成度を極めたようです。

オリジナル楽曲はどの曲も素晴らしく、ヒット・ポップスを並べたような充実のラインアップです。パレットに彩るようなゴージャスなサウンドと、軽快な質感はこの人ならでは。サックス演奏はもちろん、ギターのシャープなカッティングや、ベースのメロディアスなフレージングなど、音像の細部に耳が引きつけられます。

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2021年10月30日 (土)

Gary Honor 「Momentum」(2021)

オーストラリア出身でシドニーを拠点に活動するサックス奏者ゲリー・オーナーの新作は、前作『Heads & Tales』(2012)から数えておよそ9年ぶりのリリースです。持ち味であるエネルギッシュなブロー・タイプのサックス演奏を発揮した充実作です。

<トリピン・アンド・リズム・レコーズ>に同じく所属する、スキニー・ハイタワーとマイケル・ブローニングとのコラボで制作されました。大半のトラックは、ハイタワーがプロデュースとワンマン演奏、楽曲共作を務めています。ハイタワーが手掛けた多彩なサウンドが、今作の充実度を高めています。

ブローニングは数曲でプロデュースと演奏(キーボード)を務めていますが、リズムとホーン・セクションを従えた重厚なサウンドが光っています。

昨年からのコロナ禍で、レコーディングはいわゆるリモート・ワークを駆使して制作されたようですが、サウンドには臨場感があふれます。ゲストとして、リン・ラウントゥリー(トランペット)、キエリ・ミヌッチ(ギター)、スティーヴ・オリバー(ギター)らが客演しています。

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2021年9月26日 (日)

Tom Braxton 「Lookin' Up」(2021)

ウェイマン・ティスデイルは、1985年から1997年までNBAで活躍したプロ・バスケットボール選手でした。音楽にも情熱を傾けて、スムーズジャズ・ベース奏者として8枚のアルバムをリリースしました。

しかし骨ガンに冒されて、右脚切断にいたる闘病のすえに2009年に還らぬ人になりました。今でも話題にのぼることが多い、スムーズジャズ・ファンの記憶に焼きついているミュージシャンです。スラップ(またはチョッパー)がトレードマークのベース奏法は、エネルギッシュなグルーヴ感に溢れています。

サックス奏者トム・ブラクストンは、長年に渡りティスデイルのサイドマンを努めました。ソロでリリースしたアルバム『Bounce』(2005)は、ティスデイルがプロデュースした作品です。ティスデイルは自作曲を提供して、ベースだけでなくギターやキーボードも演奏しています。

ブラクストンは、アルバム『Endless Highway』(2009)に「ウェイマン・ティスデイルとの思い出に捧げる」とクレジットを入れています。その中の曲「That Wayman Smile!」は、ウェイマンを思わせるスラップ・ベースをフィーチャーした演奏で、ふたりの交友関係を忍ばせる印象深い曲です。

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2021年6月13日 (日)

Marion Meadows 「Twice As Nice」(2021)

マリオン・メドウズの新作は、クリスマス・アルバムをはさんで「Soul City」(2018)からは4年ぶりのオリジナル・アルバムです。「Soul City」は大半がボーカル曲の作品だったので、インストゥルメンタル中心としては「Soul Traveller」(2015)以来の作品となります。

プロデュースを、ポール・ブラウン(5曲)、クリス・デイヴィス(4曲)、ジェフ・ローバー(1曲)が手がけています。フィーチャー・ゲストに、スティーヴ・オリバー(ギター)、ゴスペル/ワーシップ系シンガーのドネリー・スモールウッド(ボーカル)らが参加しています。

ポール・ブラウンが、メドウズのアルバムをプロデュース/共演するのは初めてのようです。スムーズジャズ界の看板のようなふたりが、初めてのコラボとは意外です。ブラウンらしい都会的でメロウなサウンドに、メドウズのサックスが違和感なく溶けこんで、洗練された音像の上質感は素晴らしい。

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