カテゴリー「サックス」の137件の記事

2021年12月25日 (土)

Kenny G 「New Standards」(2021)

ケニー・Gの新作は、『Brazilian Nights』(2015)以来約6年ぶりとなるオリジナル・アルバムです。50・60年代のスタンダード曲をオマージュしたオリジナル曲集です。

制作には、長年にわたるサポートの常連ウォルター・アファナシエフ(曲の共作とキーボード)、前作にも参加していたジャズ・ピアノ奏者サム・ハーシュ、ポップスや映画音楽の作編曲家として著名なピアノ奏者のランディ・ウォルドマン、マイケル・ジャクソンやTOTOのセッション・マンで知られたキーボード奏者グレッグ・フィリンゲインズ、多くの映画音楽を手掛けているウィリアム・ロスら、熟練の音楽家が集まりました。

自作と共作による全11曲、いずれもムーディーなバラード曲で、季節がらホリディ・アルバムのような華やかさも感じます。サウンドは、ストリングスやピアノ主体のオーケストレーションがさりげない存在感で、ケニーのサックス(テナー、アルト、ソプラノ)を引き立てています。

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2021年11月 7日 (日)

Vincent Ingala 「Fire & Desire」(2021)

サックス奏者ヴィンセント・インガラの7枚目となる新作は、賞賛の意味を込めて、ポップスのカテゴリーでも評価されるべき「ポップ・インストゥルメンタル」の傑作だと思います。

全ての演奏と作編曲を自身で手がけるスタイルはいつも通りですが、今回は徹底してワンマンで作られています。ゲストも、ウォルト・ジャクソン(トランペット)がひとりクレジットされているだけです。コロナ禍の事情でのレコーディングと想像できますが、サウンドは完成度を極めたようです。

オリジナル楽曲はどの曲も素晴らしく、ヒット・ポップスを並べたような充実のラインアップです。パレットに彩るようなゴージャスなサウンドと、軽快な質感はこの人ならでは。サックス演奏はもちろん、ギターのシャープなカッティングや、ベースのメロディアスなフレージングなど、音像の細部に耳が引きつけられます。

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2021年10月30日 (土)

Gary Honor 「Momentum」(2021)

オーストラリア出身でシドニーを拠点に活動するサックス奏者ゲリー・オーナーの新作は、前作『Heads & Tales』(2012)から数えておよそ9年ぶりのリリースです。持ち味であるエネルギッシュなブロー・タイプのサックス演奏を発揮した充実作です。

<トリピン・アンド・リズム・レコーズ>に同じく所属する、スキニー・ハイタワーとマイケル・ブローニングとのコラボで制作されました。大半のトラックは、ハイタワーがプロデュースとワンマン演奏、楽曲共作を務めています。ハイタワーが手掛けた多彩なサウンドが、今作の充実度を高めています。

ブローニングは数曲でプロデュースと演奏(キーボード)を務めていますが、リズムとホーン・セクションを従えた重厚なサウンドが光っています。

昨年からのコロナ禍で、レコーディングはいわゆるリモート・ワークを駆使して制作されたようですが、サウンドには臨場感があふれます。ゲストとして、リン・ラウントゥリー(トランペット)、キエリ・ミヌッチ(ギター)、スティーヴ・オリバー(ギター)らが客演しています。

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2021年9月26日 (日)

Tom Braxton 「Lookin' Up」(2021)

ウェイマン・ティスデイルは、1985年から1997年までNBAで活躍したプロ・バスケットボール選手でした。音楽にも情熱を傾けて、スムーズジャズ・ベース奏者として8枚のアルバムをリリースしました。

しかし骨ガンに冒されて、右脚切断にいたる闘病のすえに2009年に還らぬ人になりました。今でも話題にのぼることが多い、スムーズジャズ・ファンの記憶に焼きついているミュージシャンです。スラップ(またはチョッパー)がトレードマークのベース奏法は、エネルギッシュなグルーヴ感に溢れています。

サックス奏者トム・ブラクストンは、長年に渡りティスデイルのサイドマンを努めました。ソロでリリースしたアルバム『Bounce』(2005)は、ティスデイルがプロデュースした作品です。ティスデイルは自作曲を提供して、ベースだけでなくギターやキーボードも演奏しています。

ブラクストンは、アルバム『Endless Highway』(2009)に「ウェイマン・ティスデイルとの思い出に捧げる」とクレジットを入れています。その中の曲「That Wayman Smile!」は、ウェイマンを思わせるスラップ・ベースをフィーチャーした演奏で、ふたりの交友関係を忍ばせる印象深い曲です。

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2021年6月13日 (日)

Marion Meadows 「Twice As Nice」(2021)

マリオン・メドウズの新作は、クリスマス・アルバムをはさんで「Soul City」(2018)からは4年ぶりのオリジナル・アルバムです。「Soul City」は大半がボーカル曲の作品だったので、インストゥルメンタル中心としては「Soul Traveller」(2015)以来の作品となります。

プロデュースを、ポール・ブラウン(5曲)、クリス・デイヴィス(4曲)、ジェフ・ローバー(1曲)が手がけています。フィーチャー・ゲストに、スティーヴ・オリバー(ギター)、ゴスペル/ワーシップ系シンガーのドネリー・スモールウッド(ボーカル)らが参加しています。

ポール・ブラウンが、メドウズのアルバムをプロデュース/共演するのは初めてのようです。スムーズジャズ界の看板のようなふたりが、初めてのコラボとは意外です。ブラウンらしい都会的でメロウなサウンドに、メドウズのサックスが違和感なく溶けこんで、洗練された音像の上質感は素晴らしい。

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2021年6月 6日 (日)

Merlon Devine 「Soul Jazz」(2021)

マーロン・デヴァインは、ワシントンDCを拠点に活動するサックス奏者です。コンテンポラリー・クリスチャン(もしくはワーシップ)・ミュージックとよばれる現代的ゴスペルのインストゥルメンタル・アーティストととらえられているようですが、スムーズジャズ/コンテンポラリー・ジャズとクロスオーバーする演奏家です。ソロ・アルバムは、『Due Season』(2002)から『Now』(2017)まで6作品を数えます。ソプラノ・サックスの演奏をトレードマークとして、包容力を感じさせる音色とサウンドが特徴です。

7作目となる新作は、クリスチャン・テーマを思わせるタイトルも並びますが、ミッドテンポを中心としたサウンドはメロウなムードに貫かれたコンテンポラリーなアーバン・ジャズとして堪能できる秀作です。

今作では曲ごとに複数のプロデューサーを迎えて、デヴァインと楽曲の共作/演奏で制作されています。ルー・レイン、デリック・ハーヴィン、マイケル・ブレーニングなど、いずれも近年のスムーズジャズ作品で活躍する実力派プロデューサー/ミュージシャンと洗練されたサウンドを作りあげています。

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2021年5月30日 (日)

Randal Clark 「Imaginary World」(2021)

ランダル・クラークは、米国ユタ州ソルト・レイク・シティを拠点に活動するサックス奏者。

ジェラルド・アルブライトやエリック・ダリウスらと共演するジャズ演奏だけでなく、ユタ交響楽団で活躍するなどクラシックの演奏家でもあります。また、ユタ大学で音楽教育の博士号を取得した指導者という、才能あふれる音楽家です。

この作品が、コンテンポラリー・ジャズのデビュー・アルバムのようですが、披露するサックスは技巧と熱量を込めた演奏が光る秀作です。

サポートするのは、ジミー・ハスリップ(ベース、共同プロデュース)、ジェフ・ローバー(キーボード)、ゲーリー・ノバック(ドラムス)、ヴィニー・カウリタ(ドラムス)らで、<ジェフ・ローバー・フュージョン(JLF)>の中核メンバー。

まるで、新たにクラークが加入してパワーアップしたような、JLFならではのとがったグルーヴが随所で展開されます。加えて、フィーチャー・ゲストに、ランディ・ブレッカー(トランペット)、マイケル・トンプソン(ギター)、スコット・キンゼイ(キーボード)らが参加しています。

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2021年5月 9日 (日)

Richard Elliot 「Authentic Life」(2021)

スコットランド出身のリチャード・エリオットは、80年代からジャズ/スムーズジャズ界の第一線で活躍するサックス奏者です。ファンク・バンドのタワー・オブ・パワーに参加した後、1984年に『Trolltown』でソロ・デビューしました。以来、20作近いアルバムをリリースしています。この新作は、『Summer Madness』(2016)以来の5年ぶりとなるオリジナル作品です。

近年作品では、『Summer Madness』がリック・ブラウン、『Lip Service』(2014)がポール・ブラウン、『In The Zone』(2011)はジェフ・ローバーらにプロデュースを任せていました。この新作は初期の作品に戻ったように、久しぶりの自身によるプロデュース作品になっています。プロデュースの熱意も込められて、コンテンポラリー・ジャズの本格派を志向した力作になりました。近年ではベスト級の作品といえます。

多くのプロジェクトで共演を重ねてきた盟友達、リック・ブラウン、ジェフ・ローバー、フィリップ・セス、デイヴ・コーズらを客演や共作に迎えています。リック・ブラウンはほぼ全曲の共作と客演に関わっています。特にブラウンが手がけたホーン・アレンジが洗練されていて、アルバム全体のサウンドのかなめになっています。

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2021年4月11日 (日)

Michael Lington 「Alone Together The Duets」(2021)

マイケル・リントンの新作は、多彩なゲストとのデュオによるパフォーマンスを記録した作品です。昨年からのパンデミック下でリントンは、Stageit(ステージイット)というストリーミング・サービスを利用してビデオ・ショウを配信していました。その中から、ゲストをむかえた演奏10曲をまとめたものです。

過去に発表済みのトラック(いわゆるカラオケとして)に、リントンとゲストが演奏を重ねるというスタイルで作られました。登場するデュエットはリモート・ライブではなく、それぞれが事前にワン・テイクで録画/録音したものを技術的につなぎ合わせて完成させたといいますから驚きです。まるでスタジオ・ライブのような臨場感がリアルに感じられる好演の連続です。

6曲がボーカリストとの共演で、ポップス/R&B名曲のカバーとオリジナル曲の再演です。各シンガーの名唄はもちろんですが、リントンのいわゆる”歌伴”でのハートフルなサックス演奏が絶品です。

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2021年3月29日 (月)

Jeff Ryan 「Duality」(2021)

サックス奏者ジェフ・ライアンは、「Embrace」(2018)でデビューしたスムーズジャズ界の新鋭アーティストです。デビュー作は、グレッグ・マニング(キーボード)が楽曲共作とプロデュースでサポートした作品でした。

ライアンの祖父は音楽教師、父親はクラシック・ピアニスト、母親はオルガンを演奏するという音楽一家に育ちました。10歳でサックスを始めて、学生時代にはジャズ・アンサンブルで演奏活動を始めています。バークリー音楽大学などで学んだ後、サンフランシスコのベイエリアを中心にサイドマンとして活動します。近年は、ニルス、ポール・ブラウン、アダム・ホーリーなどのアルバムのゲスト参加での活躍が目立ちます。

テナー奏者ですが、のびやかでメロウな音色が持ち味です。ポップでキャッチーなオリジナル楽曲も魅了で、コンテンポラリーなアレンジに、R&Bやファンクの要素をブレンドした洗練されたサウンドです。

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