カテゴリー「ギター」の94件の記事

2022年7月 3日 (日)

Norman Brown 「Let's Get Away」(2022)

ギター奏者ノーマン・ブラウンの13枚目となる新作は、ポール・ブラウンのプロデュースによる作品。

ノーマンの『Celebration』(1999)を始まりに、作品のたびに何曲かはポールがプロデュースや客演で関わるほどの鉄板のコンビです。とはいえアルバムまるごとをポールがプロデュースした作品となると『Just Chillin'』(2002)だけで、それ以来20年ぶりということになるようです。

ポールの手腕でアーバン・ジャズのサウンドに貫かれて、ノーマンのギターはソフトでメロウな音色が冴え渡ります。

サポートには、ルー・レイン(Lew Laing)、ウイリー・モリス(Wirlie Morris)、シェーン・テリオ(Shane Theriot)、ジェフ・カルーザス(Jeff Carruthers)、ジェラルド・マッコーリー(Gerald McCauley)といった、いずれもキーボードやベース/ギターなどマルチ演奏や作曲を手がける新鋭アーティストを起用しているのが注目です。それぞれがノーマンとポールと楽曲を共作、曲ごとに中心になりサウンドを作り上げています。

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2022年3月20日 (日)

Freddie Fox 「Limitless」(2020)

1200x1200bf60テネシー州出身のギター奏者フレディ・フォックスは、1980年代後半にサックス奏者ウォルター・ビーズリーのアルバム参加を始まりとして主にサイド・マンとして活躍しています。ナジーやマリオン・メドウズ、シンディ・ブラッドリー、ティム・ボウマン、ランディ・スコット、リン・ラウントゥリーなど多くのアーティストのクレジットに登場するスムーズジャズの世界に欠かせないギター奏者です。

ソロ・アルバムは『Freddie Fox』(2003)『Feeling' It』(2009)をリリースして、10年ぶりの本作が3枚目になります。

奥さまは、80年前後のディスコ全盛期に活躍した歌手のイヴリン・"シャンペン”・キングです。イヴリンは、「Shame」(1977)や「Love Come Down」(1982)などダンス・チャートでヒット曲を放ったディーバでした。2007年には12年ぶりとなるアルバム『Open Book』をリリース。フォックスが演奏や曲共作でサポートしていました。

さてフォックスの本作ですが、共作を含むオリジナル曲を中心にした11曲から成っています。サポート陣は、ボビー・ウェルス(キーボード)マイケル・ブローニング(キーボード)ブランドン・レーン(ベース)らを中心に、アレックス・アル(ベース)マイケル・ホワイト(ドラムス)らがリズムを固めています。奥さまのイヴリンもコーラスやリード・ボーカルで参加しています。サックス奏者マリオン・メドウズも「Sunshine」でソロ演奏を披露しています。

多彩なポップス・アルバムのように、ソフィスティケートなサウンドで貫かれたアダルト・オリエンテッドな作品。フォックスのギターは過度な主張の無い、自然体の心地いい演奏を聴かせてくれます。

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2022年1月16日 (日)

訃報:Nick Colionne 「Finger Painting」(2020)

シカゴ出身のギター奏者ニック・コリオーネが、1月1日に死去したそうです。

米国の報道(電子版USA Todayなど)によれば、12月31日イリノイ州エルジン市の病院に緊急入院して元旦の早朝に永眠したとのことです。享年は公表されていませんが、55歳前後と思われます。

コリオーネは 『It's My Turn 』 (1994)でデビュー、マイナー・レーベルなどから複数の作品を発表しました。初等学校の音楽教師を15年勤めた経歴もあり、教師のかたわら音楽活動をしていたようです。

2011年に大手のトリピン・リズム・レコードに所属すると、 『Feel The Heat』 から 『Finger Painting』 (2020)まで5作品を発表しました。(過去記事『Influences』

今春には新作 『Just Like That』 がリリース予定でしたが、発表を前に帰らぬ人になりました。

ウェス・モンゴメリーやジョージ・ベンソンの影響を受けたスタイルで、セミアコでクールにスケール・フレージングを弾きこなすオーセンティックなプレイヤーです。

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2021年11月21日 (日)

Adam Hawley 「Risin' Up」(2021)

ギター奏者アダム・ホーリーの4作目の新作は、息もつかせないギター演奏が圧倒的な秀作です。ホーリーはプロデューサーとしても売れっ子ですが、自作ではギター奏者としての実力を聴かせてくれます。ビート・ナンバーを中心にしたオリジナル曲も佳曲揃いで、アルバムを充実させています。

フィーチャー・ゲストに、スティーブ・コール(サックス)、ヴィンセント・インガラ(サックス)、ライリー・リチャード(サックス)、ジュリアン・ヴァーン(ベース)らが参加しています。ホーン・セクションを、マイケル・スティーバー(トランペット)、デヴィッド・マン、ドナルド・ハイズが手がけているのも注目です。

ゲストのソロの印象がかすむほど、ギターがパッセージを弾きまくります。速弾きにストロークを織り交ぜて、スタミナたっぷりのランナーのように疾走します。

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2021年10月 9日 (土)

Ronny Smith 「Coastal Sunset」(2021)

ロニー・スミスは、メロウな音質、ウェス・モンゴメリー直系のオクターヴ奏法、クールな熱量も味わいのあるギター奏者です。R&B/ファンク/ジャズのテイストでグルーヴを展開する演奏は、派手さはなくても好感度が高いアーティストです。

新作は、リラックスしたムードが伝わる秀作です。

前作『Raise The Roof』(2020)はユー・ナムが運営するレーベル<スカイ・タウン・レコーズ>からのリリースでしたが、今作は以前に作品を発表していた独立系レーベル<パシフィック・コースト・ジャズ>に復帰しての発表です。そのことも影響しているのでしょうか、どこか羽を伸ばしたような演奏が前作との違いを感じます。

自作の10曲は、数曲でリズム・セクションが入りますが、多くはギターにキーボード、ベース、プログラミングのワンマン演奏で仕上げています。フィーチャー・ゲストとして、サックス/フルート奏者ジョン・レケヴィチ(John Rekevics)やベース奏者ジョセフ・パトリック・ムーア(Joseph Patrick Moore)が参加しています。

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2021年9月 5日 (日)

Mark Jaimes 「Hear At Last」(2021)

イギリス出身のギター奏者マーク・ハイメスは、かつてミック・ハックネル率いるシンプリー・レッドのメンバーとしてツアーやレコーディングに参加していました。アルバムとしては『Blue』(1998)から『Stay』(2007)への一連の作品や、近作『Blue Eyed Soul』(2019)のクレジットにも登場しています。

ソロ活動としては、スムーズジャズ系のアーティスト、リック・ブラウン、ブライアン・カルバートソン、ピーター・ホワイト、カーク・ウェイラム、ユージ・グルーヴらと共演を重ねています。なかでもオリ・シルクとの共演は常連のようで、近作『6』(2020)ではほぼ全曲で演奏に加わっていました。

本作がソロ名義でのデビュー・アルバムですが、輪郭が際立つスリック(なめらかな)なフレージングを発揮した充実作です。アシッドやR&Bの味付けにポップなオリジナル楽曲も素晴らしい佳曲ぞろいで、派手さを強調しない洗練された音づくりは好感度が上がります。

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2021年8月22日 (日)

JJ Sansaverino 「Cocktails & Jazz」(2021)

ニューヨーク育ちのギター奏者ジョー・”JJ”・サンサヴェリーノは自らのキャッチ・フレーズとして、”ベンソン・ミーツ・サンタナ”とかかげています。そのフレーズがあらわすように、ジャズにR&B、サンバにサルサなど多様な要素をミックスした音楽が特徴です。

2枚目のアルバム『Waiting For You』(2014)を以前当サイトで紹介しましたが、その後『International Groove』(2018)を発表して、本作は4枚目のアルバムとなります。総勢およそ30名のミュージシャンを起用して、作曲・編曲・プロデュースまで陣頭指揮をふるった力作になりました。

全10曲がそれぞれオリジナル・カクテルをテーマにした構成になっています。CDジャケットも凝っていて、各カクテルの写真とレシピが載っています。実際に、カクテルを作って味わうこともできるというわけです。

カクテルは色々なお酒をミックスして作るように、本作も参加ミュージシャンの持ち”味”をシェイクして作りあげた粋なコンセプトを思わせます。サンサヴェリーノ自身のギター演奏も活躍しますが、参加ミュージシャンをフィーチャーしたオーケストレーションがとても素晴らしいサウンドです。

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2021年8月15日 (日)

Will Sumner 「Ocean Street」(2021)

ウィル・サムナーは、ロサンゼルス出身のギター奏者です。ミネアポリスでキャリアをスタート、デビュー作『Tropic Zone』(1980)を発表しました。後年、南カリフォルニアに移住して、現在はサンディエゴ郡のカールスバッドを拠点に活動しています。ソロ・アルバムは通算8作品をリリースしています。ギター奏者ですが、ドラムス、ピアノ、ヴァイオリンなどを演奏するマルチ・プレイヤーです。作編曲家としても、映画やテレビなどの映像作品やコマーシャルの音楽を手がける活動もしているようです。

サムナーはあるインタビューに答えて、影響された音楽としてベンチャーズやビーチ・ボーイズのサーフ・ミュージックを挙げています。過去アルバムは、『Pier Groove』(2013)『Endless Sumner』(2020)『Coast Drive』(2003)『Ride the Wave』(2020)という具合に、海やビーチをテーマにしています。拠点のカールスバッド市は太平洋岸に位置するリゾート地だそうですから、自身のビーチ・ライフから生まれる音楽なのでしょう。

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2021年7月 1日 (木)

Craig Sharmat & Neil Andersson 「Strings」(2021)

今作は、ふたりのギター奏者、クレイグ・シャーマットとニール・アンダーソン(もしくはアンデション)が、ストリングスをバックに共演したイージー・リスニング・ムードの素晴らしい作品です。

クレイグ・シャーマットは、ソロ名義で4枚のスムーズジャズ・アルバムを発表しています。同時に、作曲・編曲家/プロデューサーとして、映画、TV番組、アニメーションなどの映像作品でも活躍する音楽家です。

ニール・アンダーソンは、60年代のロック・バンド<ファビュラス・ウェイラーズ(The Fabulous Wailers)>の在籍からプロのキャリアをスタートしています。一方で、ファインアートの画家としての道を歩み、多くの受賞歴を有している美術アーティストでもあります。

1993年に、ジプシー・ジャズ・バンド<パール・ジャンゴ>の結成メンバーとなり、20年間におよぶレコーディングや演奏活動に参加しました。現在アンダーソンは「名誉メンバー」となりバンドの活動には参加していないようですが、<パールジャンゴ>は現在も活動中(5人組)で15枚目となる最新アルバム『Simplicity』(2020)をリリースしています。

ジャンゴ・ラインハルトの伝統的スタイルと音楽を継承する、いわゆるジプシー(またはマヌーシュ)ジャズのギター奏者として、アンダーソンは”レジェンド”というべき名手でしょう。

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2021年4月30日 (金)

Roberto Restuccia 「With Every Turn」(2021)

ロベルト・レストゥシアは、イギリス出身のギター奏者。インディーズで2枚のソロ・アルバムを出していますが、この作品がメジャー・レーベル、トリピンリズム・レコーズ(Trippin N Rhythm Records)からの第一弾です。

プロデュースはオリ・シルク(キーボード)が務めています。レストゥシアのプレイは、レイドバックした浮遊感が持ち味。心地よい繊細な音色も光りますが、深淵なブルースの味わいで硬派な演奏を聴かせます。

自身のペンによるオリジナルの全10曲は、スロウ・テンポながら、シルク率いるリズム・セクションが奥ゆかしいサウンドでレストゥシアのギターを引き立てています。

ベースのオレフォ・オラクエ(Orefo Orakwue)、ドラムスのレスリー・ジョセフ(Westley Joseph)は、シルクの『6』にも参加していた顔ぶれで常連のリズム・セクションでしょう。イギリスのベテラン・ジャズ・サックス奏者デレク・ナッシュ(Derek Nash)が数曲で参加しています。

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