カテゴリー「ギター」の109件の記事

2024年5月12日 (日)

Norman Brown 「It Hits Different」(2024)

ノーマン・ブラウンの新作は、3人のプロデューサーによる各セッションを収めたアルバム。常連のポール・ブラウン(6曲)とフィル・デイビス(1曲)に加えて、注目はワーリー・モリス(Wirlie Morris)との4曲です。

モリスはかつて、ブラウンの秀作『West Coast Coolin'』(2004)でタイトル曲を含む4曲の共作と演奏(キーボード等)に参加していた人。プロデューサーや作曲家/サイドマン(ボーカルやキーボード等)として、歌手のレマー(Lemar)やフレディ・ジャクソン(Freddie Jackson) ジョニー・ギル(Johnny Gill)をはじめとするR&B/ブラック・コンテンポラリー系のアーティストらを中心に共演実績を重ねています。

モリスが手がけた今作のタイトル曲や「Wings of Love」は、モリス自身のボーカルをフィーチャーしたうっとりするブラコン・ナンバー。ブラウンの音色とフレージングが、アーバンなムードをもり上げています。中でも「Anything」は、ブラウンのソフィスティケートな演奏が輝く決定的なトラックです。

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2024年4月14日 (日)

Chris Standring 「as we think」(2024)

ギター奏者クリス・スタンドリングの新作は、本人がCDのライナーに記しているとおり「アップビートで、ポジティブなスピンがかかった」自作の11曲からなる秀作です。「アップビート」といっても、ほどよい熱量のビートがつらぬかれて、スタンドリングのオーセンティックな演奏が洒脱なムードを充満させる充実作。

サウンドを固めるサポートは、信頼厚い常連のリズム・セクション、アンドレ・ベリー(ベース)、クリス・コールマン(ドラム)、ロドニー・リー(キーボード)。くわえて、こちらもデビュー時代からたびたび客演しているディノ・ソルド(テナーサックスとハーモニカ)が数曲で参加しています。

スタートの「Chocolate Shake」は、スタンドリングの代名詞といっていいトークボックスが活躍するファンキー・ナンバー。

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2024年2月 3日 (土)

Steve Oliver 「A New Light」(2023)

ギター奏者スティーヴ・オリヴァーの新作は、ほぼ全曲でキーボード奏者マイケル・ブローニングがサポートした作品です。過去にも『Radiant』(2006)がブローニングの全面的参加による作品でしたから、17年ぶりとなるふたりのコラボが注目です。

「Skyway」や「Sunkiss」はふたりだけで作り上げたトラックで、オリヴァーらしい晴れやかなメロディを爽快なサウンドで表現した佳曲。

「A New Light」は、こちらもデビュー作から共演しているサックス奏者ジェフ・カシワが客演した曲。シンセを背景にアコピやギターの複数のフレージングを交差させて耽美な景色を描いた曲です。

「New Heights」は、ラリー・アントニオ(ベース)とヴィニー・カウリタ(ドラム)の強力なリズム隊が引きしめるサウンド。オリヴァーの幻想的でスピード感のある技巧パッセージが光る好演です。

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2023年11月11日 (土)

Thom Rotella 「Say Hey!」(2023)

ギター奏者トム・ロテラの『A Day in the Life』(2002)は、20年前の作品ですがスムーズジャズの名作のひとつといえます。その後ロテラは10年以上も録音作品から遠ざかりますが、オーソドックスなジャズ作品『Storyline』(2019)でカムバックを果たしました。

そのロテラの新作は、待望のスムーズジャズ作品。ギター奏者クリス・スタンドリングが共同制作を務めた作品です。

ロテラが記したライナーノーツによると、ふたりのコラボは2017年ごろ15年ぶりの再会から始まります。スタンドリングに「どうしてスムーズジャズを避けているんだい」と聞かれて、『A Day in the Life』のブレイク後は方向性がわからずトラッド・ジャズに回帰していたと答えたとか。ロテラを再びスムーズジャズへ引き戻したのは、スタンドリングの手腕だったようです。

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2023年8月 2日 (水)

Lawson Rollins 「Heartwood」(2023)

ギター奏者ローソン・ロリンズは、フラメンコ・スタイルを基調としたアコースティック(ナイロン弦)ギターの名手です。フラメンコの伝統的奏法「ピカード」を駆使した早弾き演奏は衝撃的で、ホームページで公開されている演奏ビデオには釘付けになります。

ロリンズは25年以上のキャリアをほこります。スタートはダニエル・ヤング(Daniel Young)と組んだヤング&ロリンズ(Young & Rollins)として、デビュー・アルバム『SALSA FLAMENCA』(2000)から『Mosaic』(2006)まで通算4枚のアルバムを発表しました。その後ソロとして活動を開始、ソロ・デビュー・アルバム『INFINITA』(2008)から今まで11作をコンスタントにリリースしています。

本作は、前作『RISE』(2021)に続く新作スタジオ・アルバム。ロリンズのペンによるオリジナル楽曲全9曲が収められています。

どの曲もロリンズのギターが多重録音で絡み合い、ギター旋律の交差が立体感を広げています。曲によって、ソプラノ・サックスやヴァイオリン、チェロのゲスト奏者が加わります。

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2023年7月16日 (日)

Jonathan Butler 「Ubuntu」(2023)

ギター奏者/歌手ジョナサン・バトラーの5年ぶりの新作は、自身のルーツである南アフリカをテーマにした充実作です。レコーディングは南アフリカのヨハネスブルグとケープタウンで、現地で活動するミュージシャンも迎えて行われました。プロデュースはマーカス・ミラーがつとめて、印象的なベース演奏も随所で披露しています。バトラーの歌声とギター演奏が、オーラをはなつほどにさえわたる秀作になりました。

バトラーは、アパルトヘイト政策下の南アフリカで1961年に生まれました。ケープタウンでティーン・アイドルとして人気を博したのちに、イギリスにわたりメジャー・デビューをはたし、その後はアメリカのロサンゼルスに拠点をかまえてキャリアを重ねてきました。南アフリカを離れても、自身のアイデンティティを標したのが今回の作品です。

アルバム・タイトルの「ウブントゥ」とはアフリカ南部のズールー語のことばだとか。英語では「I am because you are」と解説されています。日本語では「あなたがいるからわたしがいる」という意味のようです。アフリカ南部のバントゥ民族に伝わる「思いやり」や「きずな」を意味する精神だそうです。バトラーはメディアのインタヴューで、ノーベル平和賞を受賞した人権活動家デズモンド・ツツ大主教との交流からその「教え」に感銘を受けたと述べています。

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2023年6月 4日 (日)

Nick Colionne 「Just Like That」(2023)

ギター奏者ニック・コリオーネの12作目のオリジナル・アルバムです。本人は本作品のリリースを見届けることができずに、2022年1月1日に旅立ってしまいました。

本人が考えていた「完成形」なのかは分かりませんが、ファンにはこの遺作はなによりも価値ある贈り物です。

今作のプロデュースはほぼ半数ずつ、マイケル・ブローニングとクリス・デイヴィスが担当しています。楽曲もブローニングとデイヴィスによる新曲が中心ですが、2曲はコリオーネのオリジナル楽曲です。

デイヴィスは生前最後の作品『Finger Painting』(2020)を含めて常連のプロデューサーでしたが、ブローニングとのコラボは初披露になります。

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2023年5月21日 (日)

Terry Wollman 「Surface」(2023)

ロサンゼルスを拠点に活動するテリー・ウルマンはギター奏者であり、作編曲やプロデュースにも手腕を発揮する多才な音楽家です。

バークリー音楽院の編曲科を卒業して、TVや映像音楽の制作や多くのアーティストのサポートにかかわり、プロデュース業ではメリサ・マンチェスターも手がけました。40年を越えるキャリアは、自身のソロ・アルバムに結実して、デビュー作『Bimini』(1988)から8作品をリリースしています。多彩なアレンジを志向した音作りは、豊富な才能の引き出しが裏づけています。

過去作品のゲストに、ジョー・サンプル、アーニー・ワッツ、ジェラルド・アルブライト、マイケル・マクドナルド、ミンディ・エイベア、ケブ・モーといったトップ・ミュージシャンを迎えて、プロデュース志向のサウンドを作り上げてきました。

自らのギターは主にアコースティックを弾きますが、アルバムには必ず入れるオリジナル・ソロ曲ではフィンガーピッキングを多用したフォーキーでクラシカルな味わいのある演奏を披露しています。配信のみのアルバム『Cassini's Last Dance』(2020)は過去曲の再録や新曲を含むギター・ソロ集で、なかなかの秀作でした。

近年はホリデイ・アルバムやベストなど企画作品が続きましたが、本作はオリジナル・アルバムとしては『Buddha’s Ear』(2011)以来になる新作です。

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2023年4月23日 (日)

Les Sabler 「Flying High」(2023)

Flyinghigh_20230422171901レス・サブラーの新作は、前作『Tranquility』(2021)に引き続きポール・ブラウンのプロデュースによる作品。サポートも、前作と同様にシェーン・テリオ、ルー・レインらの常連チームがつとめています。

楽曲は、ブラウンがテリオやレインらと共作したオリジナル7曲と4つのカヴァー曲が含まれています。今回サブラーは作曲を手がけず、ギター演奏に徹しています。

前作でスポットをあてたヴィンテージ・ギブソンのジョニー・スミス・モデルで、いたるところで聴かせるオクターブ奏法の流麗なパッセージがさえわたります。今回はアコースティック(ガット)・ギターの演奏も3曲で披露して、単音のフレージングが沁みるような好演です。

オリジナル曲の「Over The Top」に「Moonlight」や「New Bossa」など、いずれも都会的で洗練されたメロディーとキャッチーなフックが秀逸で、近年ブラウンらが手がけたなかでもベスト級の佳曲が並びます。

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2023年1月 1日 (日)

Steve Oliver 「Sojourn」(2022)

みなさま、あけましておめでとうございます。本年もご愛読よろしくお願い申し上げます。

スティーヴ・オリバーの新作はソロ・ギター演奏集です。データ・ソフトによるストリングスやシンセサイザーのサウンドが効果的に加わりますが、オーバーダビングは施していないそうです。

デジタル配信は全10曲で、CDにはボーナス・トラックの2曲が追加されています。全12曲中、過去のアルバムから9曲の再演と新曲3曲が収められています。(CDは、オリバーのサイトから購入できます。)

そもそもオリバーのソロ・ギター演奏曲は、今までの11作におよぶ過去アルバムでも意外なことにほとんどありませんでした。『Global Kiss』(2010)の「Another Place」、『World Citizen』(2012)の「Pure Spirit」、『Illuminate』の「Illuminate (Reprise) 」(2018)などわずか3曲ほどですから、今回は待望の作品といえます。

オリバーの演奏するギターは、米国カリフォルニアのカスタム・ギター・メーカー、キーセル(Kiesel)のオリジナル・モデルで、今作ではナイロン弦とエレクトリック・モデルを使い分けています。シンセサイザーに連動した構造で、個性的なサウンドを作り出すオリバーの愛機です。

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