カテゴリー「ギター」の116件の記事

2025年4月20日 (日)

Vin Downes 「City Lights Hide the Stars」(2025)

ギター奏者ヴィン・ダウンズは、80年代にニューエイジ・ミュージックの代表格となったウィンダムヒルズ・レコードの音楽に魅了されて、特にギター奏者ウィリアム・アッカーマンに大きく影響を受けたというアーティストです。

フィンガー・ピッキングのスタイルで、おもにナイロン弦のアコースティック・ギターを演奏します。

2013年ごろからいままで6作のソロ・アルバムやシングル等多数の作品を発表していますが、初期はアッカーマンが複数の作品でプロデュースに関わっています。アッカーマンのツアー共演に起用されたり、アッカーマンがプロデュースした企画アルバム『Four Guitars』(2018)などに参加したりと、親交も深い関係のようです。

近作では、トム・イートン(キーボード)とジェフ・オースター(トランペット)のアンビエント・アンサンブル作品『Seven Conversations』(2024)に、エレキ・ギター演奏で参加しました。その作品に先立ち、イートンとオースターはアッカーマンとコラボ作品『Brothers』(2021)を発表していたので、続編ではアッカーマンのポジションをダウンズがになったように思えますが、以前からイートン、オースター、ダウンズの3人はライヴで共演していたようです。

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2025年4月11日 (金)

Peter White 「Light of Day」(2025)

ギター奏者ピーター・ホワイトの17作目となる新作。

前作の『Music for Starlux Airlines』(2019)は、台湾のラグジュアリー航空会社スターラックス航空の就航開始のために制作された企画作品でした。

航空会社の創設者でCEOがホワイトの音楽のファンで、その依頼に答えて制作されたそうです。

飛行機旅をテーマにした新曲6曲は、機内鑑賞を想定したようにすべて7分台の長さで、リラックスムードで統一された、異色ながらも聴きのがせない秀作です。

その前作の『Groovin'』(2016)はカバー曲集でしたから、オリジナル(合作含む)曲によるフル・アルバムは『Smile』(2014)から数えるとおよそ10年ぶりとなります。

楽曲は主にパンデミック時期に書いて深く内省的な曲想になった、と明かしています。タイトル曲には希望をこめたテーマを思わせます。希代のメロディーメーカーを証明する珠玉の曲が並んだすばらしい作品。

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2025年3月31日 (月)

Ryan La Valette 「Fresh」(2025 )

ニュージーランドはオークランド出身のライアン・ラ・ヴァレットは、ギター、(ピッコロ)ベース、サックスを操る新鋭アーティストです(ちなみに弦楽器はサウスポー奏者です)。ジョージ・ベンソンに憧れてギターをはじめたという音楽性は、グルーヴを込めたキャッチー・リフとメロディーが踊る正当派といいたいスムーズジャズです。

セルフリリースでアルバム『Saturated Smooth』(2018)にEPやシングルを数作出した後に、トリピン・リズム・レコーズから『New Beginnings』(2022)でメジャー・デビューをはたして注目を集めました。全曲を自作する才能と、鍵盤までこなすマルチ演奏家の手腕を発揮した充実作でした。

そのデビュー作に続くこの新作は、アップデート感が増した内容の秀作です。前作同様、全曲の作曲と、ギター、ベース、サックスの三刀流演奏もさえわたり、自身の歌声も披露して、全力を傾けた自己ベスト作でしょう。

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2024年9月29日 (日)

Lemek 「Emergence」(2023)

先日、サックス奏者クワンタン・ジェラルド・Wの新作を紹介しましたが、記事でふれたように客演していたギター奏者レーメック(Lemek Yisrael)はジェラルド・Wの息子です。本作は、そのレーメックのソロ・デビュー作品です。

レーメックは、18歳でスムーズジャズ系メジャー・レーベル、トリッピン・リズム・レコードと契約して、本作でデビューをかざりました。

本作には同レーベルを代表するプロデューサー兼アーティスト、クリス・デイヴィス、マイケル・ブローニング、ライアン・ラ・ヴォレット、ニコラス・コールらが曲ごとに、プロデュースから楽曲の提供、演奏・音作りを手がけています。他にもアダム・ホーリーや、父親のクワンタン・ジェラルド・Wも参加しています。

デビュー作にしてトップ級の布陣による舞台で、新人レーメックを盛りあげたアルバムです。クオリティは約束された感がありますが、レーメックの演奏は繊細な音色でナイーヴなおもむきと、臆せず技量を発揮する大胆さもうかがえます。

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2024年7月29日 (月)

U-Nam 「Sunshine of Mine」(2023)

ユーナムの新作は、どこを切ってもお馴染みのギター・サウンドがますます円熟味を聴かせる作品。

デビュー以来、精力的な作品リリースで80年代のダンスやファンク/ソウルに回帰したサウンドはこの人の揺るぎない路線になりました。今作でもカバー曲は80年代から、バリー・ホワイトの有名曲「It's Only Love」とジョン・ルシアンの隠れた名曲「Come with Me to Rio」という選曲にこだわりが発揮されています。

一方従来の路線からすると、今作はすこしプライベートな味わいも感じられます。タイトル曲「Sunshine of Mine」は、メロウなフュージョン・タイプの曲で、ユーナムの演奏もソフトでハートフルなムード。ネット情報によると、自身の6歳の息子にささげた曲なのだとか。どうりでアンセム的なハッピー・ムードに納得します。スロー・バラード曲「Little Dreamer」も、同じく子息への愛情を思わせる曲。

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2024年6月28日 (金)

Blake Aaron 「Love and Rhythm」(2024)

N/Aスムーズジャズ系のトップ級ギター奏者のなかで、ノーマン・ブラウンを筆頭にニルスやアダム・ホーリー、ユー・ナムらは、テクニックもさることながらシャッフルなビートにポップなフレージングとグルーヴィーなリフをくりだすゴールデン・スタイルが共通のアーティスト。そして忘れてはいけないのがもうひとり、ブレーク・アーロンです。

ブレーク・アーロンの7枚目となる新作は、前作『Color and Passion』(2020)以降に発表したシングル曲に新曲を加えたアルバム。既発表のシングル6曲のほとんども、若干ですが尺が長めのトラックで終盤のフレージングが長めに収録されています。

プロデュースはアーロン自身に加えて、アダム・ホーリーやグレッグ・マニングが曲ごとに手がけて、演奏にはデヴィッド・マンのホーン・セクション、エリック・ヴァレンタイン(ドラム)、メル・ブラウン(ベース)ジミー・レイド(サックス)ドナルド・ハイズ(サックス)らスムーズジャズ・セッションで人気の面子が参加しています。

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2024年5月12日 (日)

Norman Brown 「It Hits Different」(2024)

ノーマン・ブラウンの新作は、3人のプロデューサーによる各セッションを収めたアルバム。常連のポール・ブラウン(6曲)とフィル・デイビス(1曲)に加えて、注目はワーリー・モリス(Wirlie Morris)との4曲です。

モリスはかつて、ブラウンの秀作『West Coast Coolin'』(2004)でタイトル曲を含む4曲の共作と演奏(キーボード等)に参加していた人。プロデューサーや作曲家/サイドマン(ボーカルやキーボード等)として、歌手のレマー(Lemar)やフレディ・ジャクソン(Freddie Jackson) ジョニー・ギル(Johnny Gill)をはじめとするR&B/ブラック・コンテンポラリー系のアーティストらを中心に共演実績を重ねています。

モリスが手がけた今作のタイトル曲や「Wings of Love」は、モリス自身のボーカルをフィーチャーしたうっとりするブラコン・ナンバー。ブラウンの音色とフレージングが、アーバンなムードをもり上げています。中でも「Anything」は、ブラウンのソフィスティケートな演奏が輝く決定的なトラックです。

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2024年4月14日 (日)

Chris Standring 「as we think」(2024)

ギター奏者クリス・スタンドリングの新作は、本人がCDのライナーに記しているとおり「アップビートで、ポジティブなスピンがかかった」自作の11曲からなる秀作です。「アップビート」といっても、ほどよい熱量のビートがつらぬかれて、スタンドリングのオーセンティックな演奏が洒脱なムードを充満させる充実作。

サウンドを固めるサポートは、信頼厚い常連のリズム・セクション、アンドレ・ベリー(ベース)、クリス・コールマン(ドラム)、ロドニー・リー(キーボード)。くわえて、こちらもデビュー時代からたびたび客演しているディノ・ソルド(テナーサックスとハーモニカ)が数曲で参加しています。

スタートの「Chocolate Shake」は、スタンドリングの代名詞といっていいトークボックスが活躍するファンキー・ナンバー。

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2024年2月 3日 (土)

Steve Oliver 「A New Light」(2023)

ギター奏者スティーヴ・オリヴァーの新作は、ほぼ全曲でキーボード奏者マイケル・ブローニングがサポートした作品です。過去にも『Radiant』(2006)がブローニングの全面的参加による作品でしたから、17年ぶりとなるふたりのコラボが注目です。

「Skyway」や「Sunkiss」はふたりだけで作り上げたトラックで、オリヴァーらしい晴れやかなメロディを爽快なサウンドで表現した佳曲。

「A New Light」は、こちらもデビュー作から共演しているサックス奏者ジェフ・カシワが客演した曲。シンセを背景にアコピやギターの複数のフレージングを交差させて耽美な景色を描いた曲です。

「New Heights」は、ラリー・アントニオ(ベース)とヴィニー・カウリタ(ドラム)の強力なリズム隊が引きしめるサウンド。オリヴァーの幻想的でスピード感のある技巧パッセージが光る好演です。

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2023年11月11日 (土)

Thom Rotella 「Say Hey!」(2023)

ギター奏者トム・ロテラの『A Day in the Life』(2002)は、20年前の作品ですがスムーズジャズの名作のひとつといえます。その後ロテラは10年以上も録音作品から遠ざかりますが、オーソドックスなジャズ作品『Storyline』(2019)でカムバックを果たしました。

そのロテラの新作は、待望のスムーズジャズ作品。ギター奏者クリス・スタンドリングが共同制作を務めた作品です。

ロテラが記したライナーノーツによると、ふたりのコラボは2017年ごろ15年ぶりの再会から始まります。スタンドリングに「どうしてスムーズジャズを避けているんだい」と聞かれて、『A Day in the Life』のブレイク後は方向性がわからずトラッド・ジャズに回帰していたと答えたとか。ロテラを再びスムーズジャズへ引き戻したのは、スタンドリングの手腕だったようです。

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