カテゴリー「ギター」の89件の記事

2021年9月 5日 (日)

Mark Jaimes 「Hear At Last」(2021)

イギリス出身のギター奏者マーク・ハイメスは、かつてミック・ハックネル率いるシンプリー・レッドのメンバーとしてツアーやレコーディングに参加していました。アルバムとしては『Blue』(1998)から『Stay』(2007)への一連の作品や、近作『Blue Eyed Soul』(2019)のクレジットにも登場しています。

ソロ活動としては、スムーズジャズ系のアーティスト、リック・ブラウン、ブライアン・カルバートソン、ピーター・ホワイト、カーク・ウェイラム、ユージ・グルーヴらと共演を重ねています。なかでもオリ・シルクとの共演は常連のようで、近作『6』(2020)ではほぼ全曲で演奏に加わっていました。

本作がソロ名義でのデビュー・アルバムですが、輪郭が際立つスリック(なめらかな)なフレージングを発揮した充実作です。アシッドやR&Bの味付けにポップなオリジナル楽曲も素晴らしい佳曲ぞろいで、派手さを強調しない洗練された音づくりは好感度が上がります。

続きを読む "Mark Jaimes 「Hear At Last」(2021)"

| | | コメント (2)

2021年8月22日 (日)

JJ Sansaverino 「Cocktails & Jazz」(2021)

ニューヨーク育ちのギター奏者ジョー・”JJ”・サンサヴェリーノは自らのキャッチ・フレーズとして、”ベンソン・ミーツ・サンタナ”とかかげています。そのフレーズがあらわすように、ジャズにR&B、サンバにサルサなど多様な要素をミックスした音楽が特徴です。

2枚目のアルバム『Waiting For You』(2014)を以前当サイトで紹介しましたが、その後『International Groove』(2018)を発表して、本作は4枚目のアルバムとなります。総勢およそ30名のミュージシャンを起用して、作曲・編曲・プロデュースまで陣頭指揮をふるった力作になりました。

全10曲がそれぞれオリジナル・カクテルをテーマにした構成になっています。CDジャケットも凝っていて、各カクテルの写真とレシピが載っています。実際に、カクテルを作って味わうこともできるというわけです。

カクテルは色々なお酒をミックスして作るように、本作も参加ミュージシャンの持ち”味”をシェイクして作りあげた粋なコンセプトを思わせます。サンサヴェリーノ自身のギター演奏も活躍しますが、参加ミュージシャンをフィーチャーしたオーケストレーションがとても素晴らしいサウンドです。

続きを読む "JJ Sansaverino 「Cocktails & Jazz」(2021)"

| | | コメント (2)

2021年8月15日 (日)

Will Sumner 「Ocean Street」(2021)

ウィル・サムナーは、ロサンゼルス出身のギター奏者です。ミネアポリスでキャリアをスタート、デビュー作『Tropic Zone』(1980)を発表しました。後年、南カリフォルニアに移住して、現在はサンディエゴ郡のカールスバッドを拠点に活動しています。ソロ・アルバムは通算8作品をリリースしています。ギター奏者ですが、ドラムス、ピアノ、ヴァイオリンなどを演奏するマルチ・プレイヤーです。作編曲家としても、映画やテレビなどの映像作品やコマーシャルの音楽を手がける活動もしているようです。

サムナーはあるインタビューに答えて、影響された音楽としてベンチャーズやビーチ・ボーイズのサーフ・ミュージックを挙げています。過去アルバムは、『Pier Groove』(2013)『Endless Sumner』(2020)『Coast Drive』(2003)『Ride the Wave』(2020)という具合に、海やビーチをテーマにしています。拠点のカールスバッド市は太平洋岸に位置するリゾート地だそうですから、自身のビーチ・ライフから生まれる音楽なのでしょう。

続きを読む "Will Sumner 「Ocean Street」(2021)"

| | | コメント (2)

2021年7月 1日 (木)

Craig Sharmat & Neil Andersson 「Strings」(2021)

今作は、ふたりのギター奏者、クレイグ・シャーマットとニール・アンダーソン(もしくはアンデション)が、ストリングスをバックに共演したイージー・リスニング・ムードの素晴らしい作品です。

クレイグ・シャーマットは、ソロ名義で4枚のスムーズジャズ・アルバムを発表しています。同時に、作曲・編曲家/プロデューサーとして、映画、TV番組、アニメーションなどの映像作品でも活躍する音楽家です。

ニール・アンダーソンは、60年代のロック・バンド<ファビュラス・ウェイラーズ(The Fabulous Wailers)>の在籍からプロのキャリアをスタートしています。一方で、ファインアートの画家としての道を歩み、多くの受賞歴を有している美術アーティストでもあります。

1993年に、ジプシー・ジャズ・バンド<パール・ジャンゴ>の結成メンバーとなり、20年間におよぶレコーディングや演奏活動に参加しました。現在アンダーソンは「名誉メンバー」となりバンドの活動には参加していないようですが、<パールジャンゴ>は現在も活動中(5人組)で15枚目となる最新アルバム『Simplicity』(2020)をリリースしています。

ジャンゴ・ラインハルトの伝統的スタイルと音楽を継承する、いわゆるジプシー(またはマヌーシュ)ジャズのギター奏者として、アンダーソンは”レジェンド”というべき名手でしょう。

続きを読む "Craig Sharmat & Neil Andersson 「Strings」(2021)"

| | | コメント (2)

2021年4月30日 (金)

Roberto Restuccia 「With Every Turn」(2021)

ロベルト・レストゥシアは、イギリス出身のギター奏者。インディーズで2枚のソロ・アルバムを出していますが、この作品がメジャー・レーベル、トリピンリズム・レコーズ(Trippin N Rhythm Records)からの第一弾です。

プロデュースはオリ・シルク(キーボード)が務めています。レストゥシアのプレイは、レイドバックした浮遊感が持ち味。心地よい繊細な音色も光りますが、深淵なブルースの味わいで硬派な演奏を聴かせます。

自身のペンによるオリジナルの全10曲は、スロウ・テンポながら、シルク率いるリズム・セクションが奥ゆかしいサウンドでレストゥシアのギターを引き立てています。

ベースのオレフォ・オラクエ(Orefo Orakwue)、ドラムスのレスリー・ジョセフ(Westley Joseph)は、シルクの『6』にも参加していた顔ぶれで常連のリズム・セクションでしょう。イギリスのベテラン・ジャズ・サックス奏者デレク・ナッシュ(Derek Nash)が数曲で参加しています。

続きを読む "Roberto Restuccia 「With Every Turn」(2021)"

| | | コメント (0)

2021年1月30日 (土)

Jim Kimo West 「More Guitar Stories」(2020)

スラックキー・ギター奏者ジム・キモ・ウエストの新作は、第63回グラミー賞「ニュー・エイジ」部門ベスト・アルバム賞にノミネートされた秀作です。前作『Moku Maluhia: Peaceful Island』(2018)に続いて、2年連続のノミネートになりました。(※ 末尾に追記)

スラックキー・ギターとは、ハワイで伝統的に使われる、多様なオープン・チューニングの調律で演奏するギター奏法です。

ウエストは80年代から、パロディ音楽の人気アーティスト、アル・ヤンコビックのバンド・メンバーとして活動していますが、ツアーでハワイを訪れたのを機会に、スラックキー・ギターに魅せられたそうです。以来、スラックキー・ギターの演奏家としておよそ10作のソロ・アルバムをリリースしています。

この新作は自作オリジナルの全10曲から成り、スラックキー・ギター演奏を中心に、多様なギターと弦楽器(12弦、エレキ、シンセ、マンドリン、ペダル・スティールなど)を自ら演奏して、アンサンブルではベースやパーカッション、ヴァイオリン、チェロなどのプレイヤーを迎えています。

続きを読む "Jim Kimo West 「More Guitar Stories」(2020)"

| | | コメント (0)

2020年11月 3日 (火)

Blake Aaron 「Color And Passion」(2020)

ギター奏者ブレーク・アーロンの新作は早くから予定が公表されていましたが、待つことほぼ1年を経てのリリースになりました。

前作「Soul Stories」(2015)の後、毎年コンスタントに新曲シングルを発表していましたが、フルアルバムは5年ぶりになります。既発のシングル9曲から、7曲がこの新作アルバムに含まれています。

シングルの既発表曲が大半とはいえ、ほとんどが長めの編集やミックスも変更されているようで、新鮮に響きます。ポップでキャッチーなリフが満載の楽曲と、サウンドと演奏のグルーヴは抜群で、今年のベスト級作品として太鼓判を推したい傑作です。

ゲストは、ダーレン・ラーン(サックス)、ナジー(サックス)、キム・スコット(フルート)、アダム・ホーリー(ギター)などが参加。リズム・セクションには、ダリル・ウィリアムス(ベース)、メル・ブラウン(ベース)、トニー・ムーア(ドラムス)、タテン・カティンディグ(ピアノ)、ロブ・マリンズ(ピアノ)といった布陣が固めています。

続きを読む "Blake Aaron 「Color And Passion」(2020)"

| | | コメント (6)

2020年9月 6日 (日)

Paul Brown 「Ones Upon A Time」(2020)

ポール・ブラウンの新作は、ブラウンが過去にプロデュースした曲を自ら再演した10曲の作品集。スムーズジャズ界を代表するプロデューサーとして、数多くのアーティストの作品を生み出した経歴を振り返るというコンセプトです。

ブラウンのプロデュース業のスタートは、サックス奏者サム・リニー(Sam Riney)のデビュー作『At Last』(1989)。その後、ボニー・ジェイムスのデビュー作『Trust』(1992)から8作品連続して『Ride』(2001)までプロデュースを手がけた実績で、スムーズジャズ界のプロデューサーとして評価を高めました。

ブラウンが過去30年間にプロデュースしたアーティストと楽曲は枚挙にいとまがないほどですが、珠玉といえる10曲が選ばれています。全てビルボードのチャートで1位を記録した曲だそうです。

オリジナル・トラックのアーティストと収録アルバムは以下の通りです。

続きを読む "Paul Brown 「Ones Upon A Time」(2020)"

| | | コメント (0)

2020年6月 7日 (日)

Chris Standring 「Real Life」(2020)

ギター奏者クリス・スタンドリングの、13枚目のソロ・アルバムです。前作『Sunlight』(2018)の後、リミックス集『Best of Chris Standring Remixed』(2019)をはさんで、スタジオ作品としての新作です。

サポート陣は、前作にも参加していたアンドレ・ベリー(ベース)、クリス・コールマン(ドラムス)、デイヴ・カラソニー(ドラムス、ザ・リッピングトンズ)らのリズム・セクションと、ゲストはミッチェル・フォアマン(ピアノ)、マット・ロード(フェンダー)、ヴァネッサ・へインズ(ボーカル、インコグニートのシンガー)の顔ぶれです。

オリジナル9曲(1曲は共作)を含む全11曲の内容です。近年の、『Electric Wonderland』(2012)や『Don't Talk, Dance!』(2014)の、ラウンジ・ビートが際立った秀作に比べると、比較的にオーセンティックな味わいの作品です。ギターも従来のエレクトリックに加えて、アコースティックな音色が新鮮です。

続きを読む "Chris Standring 「Real Life」(2020)"

| | | コメント (2)

2020年5月10日 (日)

Nils 「Caught In The Groove」(2020)

ニルスの新作は、非の打ちどころがない傑作です。10作目となるソロ・アルバムは、全12曲、カヴァー曲なし、自作オリジナルで固めた会心の作品。

演奏陣は、ミッチ・フォアマン(キーボード)、ジョニー・ブリット(キーボード、コーラス、ホーン・セクション)、ダリル・ウィリアムス(ベース)、クリデン・ジャクソン(コーラス、キーボード)、オリバー・C・ブラウン(パーカッション)など、前作『Play』(2018)でも参加していた布陣が中心です。

演奏陣の創るサウンドは隙がなく緻密ですが、今回はゲストの独奏はほとんどなく、終始にわたりニルスのギター演奏が主役として躍動します。オーガニックなリズム・セクションに、ホーン・セクションやシンセを配したアレンジは絢爛で、ヒット・ポップスのように均整のとれたサウンド。ニルスのギターは、派手にテクニックをひけらかすのではなく音色の変化を繰り出して魅力的です。シャープな音粒や、スイングするコード・ストローク、エコーによるトリップ感など、惹き込まれるディテールが途切れません。

続きを読む "Nils 「Caught In The Groove」(2020)"

| | | コメント (0)

より以前の記事一覧