カテゴリー「コラム」の35件の記事

2021年2月21日 (日)

あのポップス名曲のサックスは誰だ?(Part 5)

1. カラパナ:「(For You)I'd chase a rainbow」(1976)

日本でも人気が高かったハワイのバンド、<カラパナ>のセカンド・アルバム収録曲です。

サックス演奏は、マイケル・パウロ(Michael Paulo)。イントロと間奏のドリーミーなフレージングが爽やかな珠玉のバラード曲です。

パウロは、セカンド・アルバムから<カラパナ>に参加したメンバーです。同じアルバムに収録されたインスト曲「Black Sand」は、パウロのエネルギッシュな吹奏が聴ける代表曲。加速してゆくスピード感のピークで登場するパウロのサックスのかっこよさは絶品です。

パウロは1979年ごろに正式メンバーを外れたようですが、2000年代の再結成にも合流しました。再結成後のスタジオ・アルバム『Blue Album』(2002)にも参加しています。最新のソロ・アルバムは、『Beautiful Day』(2018)です。

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2021年1月 9日 (土)

あのポップス名曲のサックスは誰だ?(Part 4)

1. スティーリー・ダン:「FM(No Static at All)」(1978)

間奏と終盤に入るテナー・サックスは、ジャズ・サックス奏者のピート・クリストリーブ(Pete Christlieb)です。ゾクっとするジャジーなサックスが、ミステリアスな曲想を盛り上げています。終盤のアドリブのフレージングは名演です。

映画『FM』(1978)のテーマ曲としてリリースされてヒットしましたが、スティーリー・ダンのオリジナル・アルバムには未収録の人気曲です。

アルバム『Aja』の中の 「Deacon Blues」でも、クリストリーブがソロ演奏をしています。

クリストリーブは最近、クリス・スタンドリングの『Sunlight』にゲスト参加や、デヴィッド・ガーフィールドの『Jazz Outside The Box』の「Sophisticated Lady」でもソロを吹いています。

 

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2020年12月26日 (土)

2020年のベスト3+1

今年紹介した作品の中から、個人的なベスト作品です。

1. Nils 『Caught In The Groove
2. Blake Aaron 『Color And Passion
3. BoneyJames 『Solid
+1. Four80East 『Straight Round

ニルスのぶれないスタイルが頂点を極めたこの作品、「これぞスムーズジャズ」と聴くたびにうなずく曲ばかり。テクニックをひけらかせず、自然体で駆け抜けるグルーヴが充満した演奏が爽快です。

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2020年12月17日 (木)

第63回グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」ノミネート作品(2020)

第63回グラミー賞の「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」部門賞は、下記の5作品が候補に選ばれました。受賞作は、2021年1月31日(米国)に発表されます。(※ 記事末尾に結果を追記)

この部門の最近の傾向は、先進的ジャズやルーツ・ミュージックなどジャンルを超越した作品が選ばれています。今回もスムーズジャズのアーティストが選ばれないのは残念です。

1. Christian Scott Atunde Adjuah 『Axiom』

新世代ジャズの革新的トランペット奏者クリスチャン・スコット・アトゥンデ・アジュアーが、ニューヨークのブルーノートで行ったライブの録音作品です。スコットはこの作品で、3年連続のノミネートになります。

スコットは自身の音楽を、”ストレッチ・ミュージック”と提唱しています。ジャズをルーツに、多様な音楽へ”拡張”させるというコンセプトです。この作品は、そのストレッチ・ミュージックが躍動するライブ演奏を記録しています。

炸裂するバンドのエネルギーは戦闘的、スコットのソロ演奏は慟哭的で、ハートをゆさぶられます。一方で「Songs She Never Heard」は美形のアンサンブルを展開したりと、意表をつく音像の連続です。「Sunrise in Beijing」や「Hunteress」では、バンドのメンバー、フルート奏者エレーナ・ピンダーフューズ(Elena Pinderhughes)の素晴らしいフレージングが衝撃的です。

「Guinevere」のスコットのアドリブ演奏は、同時に「ベスト・インプロバイズド・ジャズ・ソロ」部門の候補に選ばれています。

 

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2020年8月22日 (土)

拙著『スムーズジャズを楽しむ50枚のアルバム』

<お知らせ>

拙著「スムーズジャズを楽しむ50枚のアルバム」についてのお知らせを追記いたします。

【Version 8】をアップデートしました。

ジャケ写真を1枚追加しました。


マーカス・アンダーソン「スタイル・ミーツ・サブスタンス」

掲載ジャケ写真は合計29点になりました。

 

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2020年8月18日 (火)

トム&ジェリー(サイモン&ガーファンクル)についてのミニ研究(その2)

ポールのソロ・アーティスト名は、トゥルー・テイラー(True Taylor)という名前でした。サイモン親子は出来上がったシングル盤の表示を見て驚きました。てっきり、ジェリー・ランディスだと思っていたのです。2人はプロセン氏にクレームしましたが、そのままになったようです。公式には、ポールのトゥルー・テイラー名義の作品はこの2曲のみです。エルビスのコピーとはいえ、溌剌にシャウトする、10代のポールの純真な歌声が活き活きとしています。

トゥルー・テイラーとは、唐突なネーミングのようですが、ポールの祖父、ポール・サイモン(ポールは祖父の名前を引き継いだ)はオーストリア出身の移民で、職業は仕立て屋(Tailar=テイラー)でした。もしかすると、祖父を由来に、プロセン氏かルーが意図的に付けた名前なのかと勘ぐります。

ちなみに、ポールはジェリー・ランディスという名前を、その後もデモ歌手やソング・ライターとして活動している時期に長く使っています。ポール・ケーンと名乗った時代もあります。今ではそれぞれの名前で、多くの非公式の音源が公表されています。

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2020年8月16日 (日)

トム&ジェリー(サイモン&ガーファンクル)についてのミニ研究(その1)

ポール・サイモンとアート・ガーファンクルが16歳の時、トム&ジェリー(Tom & Jerry)の名前で発売したシングル「Hey, Schoolgirl」(1957)は、ビルボードでは最高位49位のヒット曲になり、10万〜15万枚超のセールスを記録しました。ポップ・スターを夢見ていた10代の少年2人が、舞い上がるには充分過ぎる大成功でした。

しかしその後リリースした2枚のシングルはパッとせず、わずか半年で活動を終えます。レコード・ビジネスの現実と、取り巻く「大人」の事情に翻弄されて、2人の友情にも亀裂を残した苦い出来事になりました。2人がフォークソングのデュオとして再結成するのは、6年後の1963年でした。

ポールとアートは、ニューヨーク・クイーンズ地区のハイスクールの同級生で、エバリー・ブラザースの「Hey, Doll Baby」を下敷きに共作したオリジナル曲が「Hey, Schoolgirl」でした。2人に目を止めたのは、マンハッタンのレコード会社、ビッグ・レコード(Big Records)のオーナー、シドニー(もしくはシド)・プロセン(Sidney or Sid Prosen)という人でした。

ビッグ・レコードは、シングル盤をわずか10枚ほどを出しただけの小さなマイナー・レーベル。オーナーのプロセン氏は、自らも歌い、作曲編曲もこなす音楽家でもあり、プロモーター/プロデューサーでした。

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2019年12月22日 (日)

第62回グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」ノミネート作品(2019)【追記】

【追記】2020年度受賞作は、Rodrigo y Gabriela『METTAVOLUTION』が選ばれました。(文2020/1/28)

 

グラミー賞の「コンテンポラリー・インストゥルメンタル」という部門賞は、2000年に新設されて2013年まで「ポップ・インストゥルメンタル」という賞だった。かつては、ノーマン・ブラウン、デイブ・コーズ、ジェフ・ローバー、ジェラルド・アルブライト、など他多くのスムーズ・ジャズ系のアーティストも受賞やノミネートで選ばれているのだが、この数年の傾向は、広範囲なジャンルを対象に先進的な音楽性の作品が選ばれているように思う。今年のノミネート作品は、スムーズ・ジャズは選ばれていないが、先進的という点では、いずれも素晴らしい5作品だ。
(グラミー賞について関連過去記事はこちら

1. Christian Scott aTunde Adjuah ANCESTRAL RECALL

1983年生まれのクリスチャン・スコット・アトゥンデ・アジュアーは新世代ジャズのトランペット奏者。前回の第61回グラミー賞にノミネートされた「The Emancipation Procrastination」に続いてのノミネート。

ポップスのような均整の取れた要素はほとんど現れない。アフリカン・リズムを骨格に、怒涛のようなシーツ・オブ・リズムが押し寄せる。

「songs she never heard」は、深淵の視界に触れるようなドラマチックな演奏が感動的。「ritual」では、慟哭のように迫り上がってくるフレージングのパワーに圧倒される。

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2019年12月21日 (土)

2019年のベスト3+1

今年紹介した新譜の中から選んだ、私のベスト3(+1)です。(下線は当サイト内の過去記事にリンクしています。)

1. U-Nam 『Future Love

ユー・ナムのスタイルを、総決算するような会心の作品。80年代のダンス・グルーヴと、ジョージ・ベンソンへのオマージュ、いずれも進化させて独自のオリジナリティを完成させた。途切れないグルーヴが続く全15曲、ボーカルを入れずにギター演奏を主役にした怒涛の熱量に圧倒される。

ファンキーなビートに、ポップなリフとダンス・グルーヴ、そしてスウィートでメロウなメロディ、多彩なサウンドを造り出した力量に感動する。多彩なテクを駆使する流麗なギター演奏は特筆に値する。ユー・ナムが、ベンソン・スタイルを超越したギター演奏家であることはもっと評価されていいと思う。

この作品の続編『The Love Vault: Future Love, Pt.2』が既にリリースされていて、ボーカル曲も入れた全12曲という内容で、これでもかのパワーが全開です。

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2019年11月21日 (木)

聴き逃せないクリスマス・アルバム(2019)

この季節になると目立つのはクリスマス(もしくはホリデイ)アルバム。スムーズジャズ系アーティストの作品もリリースのラッシュだ。定番の曲の演奏集が多いので目新しさは無いかと思いきや、オリジナリティのある作品も多く注目に値する。この3作品は聴き逃せない秀作だ。

1. Dave Koz 『Gifts Of The Season』(2019)

デイブ ・コーズのクリスマス企画アルバムはこの新作で7作目となる。初めてのクリスマス・アルバム『December Makes Me Feel This Way』(97年)以来、「デイブ・コーズ・アンド・フレンズ」名義で3作品や、旧譜のコンピレーション『Ultimate Christmas』(11年)もあり、20年以上に渡り定期的にクリスマス・アルバムを出している。伝統的な曲を中心にクリスマス曲のカバーはおよそ40曲に及ぶだろう。コーズにとってクリスマス曲の演奏はライフ・ワークのようで、コーズの右に出る人は見つからない。

今作の選曲は、何度となくレコーディングしている「White Christmas」「Winter Wonderland」「I'll Be Home For Christmas」など外せない定番曲に加えて、オールディーズから近年のクリスマス・ポップスを取り上げたのが新機軸で、今まで以上にポップで洗練された作品になった。

「It’s Beginning to Look a Lot Like Christmas」(ペリー・コモ)「Last Christmas」(ワム!)、「All I Want for Christmas」(マライア・キャリー)、「Mary Did You Know」(クリスチャン歌手のマイケル・イングリッシュ)など、いずれも初めてカバーするポップス系の曲が新鮮だ。ゲストにジョナサン・バトラー、メリサ・マンチェスター、クリス・ウォーカーら豪華ボーカリストを起用している。

コーズはクリスマスをテーマにした自作オリジナル曲を入れるのも定番で、「December Makes Me Feel This Way」(97年の同名アルバム)、「Memories Of A Winter’s Night」(07年の同名アルバム)、「Beneath The Moonlit Sky」(01年の『Smooth Jazz Christmas』)など、クリスマス・アルバムでしか聴けない佳曲が多い。今作のオリジナル曲は「A Prayer for Peace」。ソプラノ・サックスで奏でるマイナーな美しい曲。

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