第65回(2023)グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」ノミネート作品 ②
【23/2/6付追記:受賞作はスナーキー・パピーです(下記★印)スナーキー・パピーの受賞は、第63回グラミー賞での『Live At The Royal Albert Hall』に続いて、通算5回目となります。】
過日の記事に続いて、残りのノミネート2作品を紹介します。
⚫︎『Jacob's Ladder』Brad Mehldau
ジャズ・ピアノ奏者ブラッド・メルドーの本作は、ジャズの範疇にはおさまらないユニークなソロ作品です。
注目は、プログレッシブ・ロックの選曲です。「Jacob's Ladder」と「Tom Sawyer」は、カナダのバンド、ラッシュの楽曲。「Cogs in Cogs」は、イギリスのバンド、ジェントル・ジャイアントの曲。どちらも70年代から80年代初めに活躍したプログレッシブ・ロック系バンドの代表曲です。
メルドーはピアノに加えて各種シンセサイザーを演奏しています。シンセによるバロック的なソロ演奏もありますが、ボーカルやギターを交えて尖ったプログレッシブ・ロック・サウンドを組み立てています。イエスの「Starship Trooper」の一部や、現役プログレ/メタル・バンド、ペリフェリー(Periphery)の楽曲「Racecar」も構成に取り上げています。
メルドーのオリジナル曲「Herr und Knecht」では、ドイツ語の歌(叫び)が入りジャーマン・ヘヴィメタルな様相です。
メルドーのプログレッシブ・ロックへのオマージュといえる秀作です。