カテゴリー「ハープ」の3件の記事

2022年12月11日 (日)

Andreas Vollenweider 「Slow Flow & Dancer」(2022)

ハープ奏者アンドレアス・フォーレンヴァイダーの新作は、CD2枚からなるアルバムです。『Slow Flow 』と『Dancer』と名付けたテーマでCDが分かれています。(各盤とも20分ほどの尺ですが)

前作『Quiet Places』(2020)は11年ぶりの作品で、チェロ奏者との合奏に力強さを感じる演奏作品でした。早くも新作のリリースとは嬉しい驚きですが、2010年頃から制作を手掛けたものの中断していた作品のようで、今回完成に至ったようです。ストリングスやコーラスを配したオーケストレーションのサウンドや、ビートが躍動するポップな曲もあり、フォーレンヴァイダーの80年代の活躍がよみがえります。

共同プロデュースを務めるのはアンディ・ライトで、シンプリー・レッド、シンプル・マインズ、ユーリズミックスらアーティストを手がけた英国のロック/ポップ・シーンを代表するプロデューサーです。今作では、楽曲の共作とアレンジに加えて、ベース、ピアノ、キーボードなどの演奏も務めています。

共演ミュージシャンとして、「SlowFlow」ではロンドン・セッション管弦楽団が、「Dancer」ではアフリカの6人組コーラス・グループ、アフリカペラ(Africapella)がそれぞれ中心的な役割を担っています。南アフリカ出身のアフリカペラは、フォーレンヴァイダーの2010年前後のツアーに同行していたので、本作での参加曲はその頃の音源かもしれません。

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2020年10月18日 (日)

Andreas Vollenweider 「Quiet Places」(2020)

スイスのハープ奏者アンドレアス・フォーレンヴァイダーの新作は、録音作品としては『AIR』(2009)以来およそ11年ぶりのアルバムです。

世界デビュー作『Behind the Gardens, Behind the Wall, Under the Tree...』(1981)をはじめとして、80年〜90年代にリリースした作品はジャズやニューエイジのジャンルを超えて、幅広く人気を集めました。個人的には、2作目の『Caverna Magica』(1982)はオールタイム・ベストの作品として愛聴しています。4作目『Down To The Moon』(1986)は、グラミー賞(ベスト・ニューエイジ・アルバム)を受賞して、世界的な評価を揺るぎないものにしました。

近年はヨーロッパを中心にコンサートを行なっていたようですが、アルバムのリリースは長らく実現しませんでした。今年のコロナ下5月からは、自身のウェッブ・サイトで「Live@Home」と名付けたライブ配信を始めています。スイスの自宅スタジオでのライブ演奏で、ハープはもちろん、コラと呼ばれるハープの原型とされる楽器や、クラシック・ギターの演奏も披露しています。

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2013年3月 7日 (木)

Lori Andrews 「After Hours」(2007)

ハープという楽器の印象は、共鳴しあう弦の調べが、どこか夢の世界でも浮遊するよう な幻想的なもの。このアルバムの演奏を聴いたら、そんなイメージは覆される。

これは骨太な、フュージョンジャズのアルバムだ。それも、ハープが入ったバンドの、ビート とグルーブが一体となったすばらしい演奏。ハープの演奏は、やわなイメージを払しょくするのに成功している。録音も、一発撮りのようでライブ感たっぷり。バンド編成は、ハープ、サックス、ベース、ドラムの4人に、曲によってパーカッションやシンセが入ったりの全14曲。

特に、ベースとド ラムのリズム隊の音が際立って、サウンドのシャープさにガツンとくる。ハープ奏者、 ローリー・アンドリュースを冠にしたアルバムなので、彼女が主役だとしても、彼女は バンドの一員としての立ち位置で、目立つわけでもなく、アンサンブルの一人として、 他のプレイヤーと同等にアドリブをやり、このバンドの一体感を生み出している。演奏 は、友好的なスウィング感にあふれている。

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