この季節になると目立つのはクリスマス(もしくはホリデイ)アルバム。スムーズジャズ系アーティストの作品もリリースのラッシュだ。定番の曲の演奏集が多いので目新しさは無いかと思いきや、オリジナリティのある作品も多く注目に値する。この3作品は聴き逃せない秀作だ。
1. Dave Koz 『Gifts Of The Season』(2019)
デイブ ・コーズのクリスマス企画アルバムはこの新作で7作目となる。初めてのクリスマス・アルバム『December Makes Me Feel This Way』(97年)以来、「デイブ・コーズ・アンド・フレンズ」名義で3作品や、旧譜のコンピレーション『Ultimate Christmas』(11年)もあり、20年以上に渡り定期的にクリスマス・アルバムを出している。伝統的な曲を中心にクリスマス曲のカバーはおよそ40曲に及ぶだろう。コーズにとってクリスマス曲の演奏はライフ・ワークのようで、コーズの右に出る人は見つからない。
今作の選曲は、何度となくレコーディングしている「White Christmas」「Winter Wonderland」「I'll Be Home For Christmas」など外せない定番曲に加えて、オールディーズから近年のクリスマス・ポップスを取り上げたのが新機軸で、今まで以上にポップで洗練された作品になった。
「It’s Beginning to Look a Lot Like Christmas」(ペリー・コモ)「Last Christmas」(ワム!)、「All I Want for Christmas」(マライア・キャリー)、「Mary Did You Know」(クリスチャン歌手のマイケル・イングリッシュ)など、いずれも初めてカバーするポップス系の曲が新鮮だ。ゲストにジョナサン・バトラー、メリサ・マンチェスター、クリス・ウォーカーら豪華ボーカリストを起用している。
コーズはクリスマスをテーマにした自作オリジナル曲を入れるのも定番で、「December Makes Me Feel This Way」(97年の同名アルバム)、「Memories Of A Winter’s Night」(07年の同名アルバム)、「Beneath The Moonlit Sky」(01年の『Smooth Jazz Christmas』)など、クリスマス・アルバムでしか聴けない佳曲が多い。今作のオリジナル曲は「A Prayer for Peace」。ソプラノ・サックスで奏でるマイナーな美しい曲。