カテゴリー「ホリデイ・アルバム」の6件の記事

2023年12月27日 (水)

Nils Wülker 「Rays of Winter Sun」(2023)

ドイツのトランペット奏者ニルス・ヴュルカーの新作はEPサイズのアルバム(デジタル配信のみのようです)で、冬をテーマにしたオリジナル4曲と2曲のクリスマス定番曲のカバーが収められています。

ピアノ奏者ティム・アルホフ(Tim Allhof)とベース奏者スヴェン・ファーラー(Sven Faller)を従えて、アコースティックでリリカルなアンサンブルを展開しています。ヴュルカーは半数の曲でフリューゲルホルンを演奏して、暖かみをしのばせた柔和な奏音が心に沁みます。

インタープレイは平穏な空気を漂わせて、曲名のイメージを描写するかのようです。「Rays of Winter Sun」(アルホフとのデュオ)や「First Sight of Snow」(トリオ演奏)は、雪や冬景色が広がり幸福感がわきあがる抒情的な好演です。

ジャズ・スタンダードの「A Child Is Born」で始まり、ドイツ讃美歌の「Macht hoch die Tür」でしめくくる構成は、おだやかなクリスマス・ムードを引き立てます。

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2021年11月28日 (日)

Till Brönner 「Christmas」(2021)

ドイツのトランペット奏者ティル・ブレナーの新作は、ピアノとベースとのトリオ演奏(デュオも数曲)によるクリスマス・アルバムです。

ピアノのフランク・カステニアー(Frank Chasteiner)とベースのクリスチャン・フォン・カペヘンクスト(Christian Von Kaphengst)は、ブレナーの多くの作品に参加しているサポートの常連です。気心の知れた関係がにじみ出るように、3人のアンサンブルは暖かいムードが伝わります。ブレナーは大半の曲でフリューゲルホーンを吹いていて、やわらかい音色が一段と幸福感を膨らませる好演になっています。

ブレナーのクリスマス・アルバムは今作が2作目です。かつての『The Christmas Album』(2007)は、フォン・カペヘンクストとの共同プロデュース作品で、カステニアーも演奏に加わっていました。その3人で再びクリスマス・アルバムを作ったというのも興味深いところです。

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2020年12月 9日 (水)

Brian Bromberg 「Celebrate Me Home: The Holiday Sessions」(2020)

ベース奏者ブライアン・ブロンバーグの新作は、30年超えのキャリアで初めてとなる素晴らしいクリスマス・アルバムです。

ライナーノーツによれば、今年パンデミックの期間に”ソーシャル・ディスタンス”をまもり作られたとのこと。各ミュージシャンが離れたスタジオにいながら同時録音やダビングを駆使して完成したそうです。

そんな背景であっても、演奏は飛び切りに活き活きとしたグルーヴに満ちています。なんといっても、ホリデイ音楽らしいキラキラと夢のようなハッピー・ムードにあふれていて、パンデミックに苦悩する世界の不安を和らげる楽しさです。

参加ミュージシャンは、エバレット・ハープ(サックス)、エラン・トロットマン(サックス)、ナジー(フルート)、クリス・ウォーカー(ボーカル)、メイザ・リーク(ボーカル)らのフィーチャー・ゲスト陣に、リズム・セクションにはトム・ジンク(ピアノ)、トニー・ムーア(ドラム)、レイ・フラー(ギター)らが固めています。アンドリュー・ニュー(サックス)が務めた、ビッグ・バンド・スタイルのホーン・セクションのアレンジ/演奏が、ゴージャスに光っています。

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2019年11月21日 (木)

聴き逃せないクリスマス・アルバム(2019)

この季節になると目立つのはクリスマス(もしくはホリデイ)アルバム。スムーズジャズ系アーティストの作品もリリースのラッシュだ。定番の曲の演奏集が多いので目新しさは無いかと思いきや、オリジナリティのある作品も多く注目に値する。この3作品は聴き逃せない秀作だ。

1. Dave Koz 『Gifts Of The Season』(2019)

デイブ ・コーズのクリスマス企画アルバムはこの新作で7作目となる。初めてのクリスマス・アルバム『December Makes Me Feel This Way』(97年)以来、「デイブ・コーズ・アンド・フレンズ」名義で3作品や、旧譜のコンピレーション『Ultimate Christmas』(11年)もあり、20年以上に渡り定期的にクリスマス・アルバムを出している。伝統的な曲を中心にクリスマス曲のカバーはおよそ40曲に及ぶだろう。コーズにとってクリスマス曲の演奏はライフ・ワークのようで、コーズの右に出る人は見つからない。

今作の選曲は、何度となくレコーディングしている「White Christmas」「Winter Wonderland」「I'll Be Home For Christmas」など外せない定番曲に加えて、オールディーズから近年のクリスマス・ポップスを取り上げたのが新機軸で、今まで以上にポップで洗練された作品になった。

「It’s Beginning to Look a Lot Like Christmas」(ペリー・コモ)「Last Christmas」(ワム!)、「All I Want for Christmas」(マライア・キャリー)、「Mary Did You Know」(クリスチャン歌手のマイケル・イングリッシュ)など、いずれも初めてカバーするポップス系の曲が新鮮だ。ゲストにジョナサン・バトラー、メリサ・マンチェスター、クリス・ウォーカーら豪華ボーカリストを起用している。

コーズはクリスマスをテーマにした自作オリジナル曲を入れるのも定番で、「December Makes Me Feel This Way」(97年の同名アルバム)、「Memories Of A Winter’s Night」(07年の同名アルバム)、「Beneath The Moonlit Sky」(01年の『Smooth Jazz Christmas』)など、クリスマス・アルバムでしか聴けない佳曲が多い。今作のオリジナル曲は「A Prayer for Peace」。ソプラノ・サックスで奏でるマイナーな美しい曲。

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2018年12月23日 (日)

Gregg Karukas featuring Shelby Flint「Home for The Holidays」(1993、reissue 2018)

グレッグ・カルーカスが、93年に出したクリスマス・アルバムが再発されました。これは、スタンダードを中心にしたクリスマス曲を、ピアノ・トリオのフォーマットで演奏した作品です。トリオのメンバーは、カルーカス(ピアノ)、ジョン・レフトウィッチ(ベース)、ジョエル・テイラー(ドラムス)。ボーカルとして、シェルビー・フリントが、12曲中の6曲で唄っています。

カルーカスの作品の中では、唯一のクリスマス・アルバムで、かつピアノ・トリオ演奏という、異色の企画作品です。今になって、日本で再発されるというのも珍しい。理由は、ボーカルで参加したシェルビー・フリントに注目した再発のようです。理由はともあれ、嬉しい再発です。(再発盤の日本語表記は、カルーカスでなく「カルーキス」?となって、ジャケットもおしゃれに新装されていますので、お見逃しないように。)

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2013年11月24日 (日)

Phil Denny 「The Messenger」(2013)

フィル・デニーの新作はクリスマス・アルバムだ。前作「Crossover」は、ネイト・ハラシムのプロデュースの上手さと相まって、なかなかいい作品だった。この新作も、ネイトとフィルの共同作品。クリスマス・アルバムといえば、いまの季節の定番で、ジャズやポップス・カテゴリーで旧作の再発を含めて、新作もたくさん出てくるし、正直あまり食指が動かない。アーティストのほうも、一度は出しておくのがクリスマス・アルバムというような感じもあるのか、心に残る作品はそう見つからない。

このフィル・デニーのクリスマス・アルバムは、なかなかクールな味わいのある好盤だ。全10曲のうち、M3「White Christmas」、M6「This Christmas」、M7「Have Yourself a Merry Little Christmas」、M8「Little Drummer Boy」、M9「Deck the Halls」、などいわゆるクリスマス・クラシックが網羅されていて、ソウルフルな味わいのあるアレンジと、デニーのサックスのクールなところが都会的なムードに満ちている。ネイトがプロデュースをしたトランペット奏者リン・ラウントリーも客演している。

アルバム冒頭と最後の2曲は、フィルとネイトの共作によるオリジナル曲で、クリスマス・ムードにピッタリなポップチューンのM1「Radio Flyer」と、センチメンタルなバラードのM10「The Messenger」。この2曲は特に光っている。また来年聴きたくなるかな。

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