カテゴリー「グラミー賞」の21件の記事

2026年1月12日 (月)

第68回(2026)グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」ノミネート作品 ②

3. 『Shayan』 Charu Suri

Charusuri南インド出身のピアノ奏者/作曲家チャル・スリは、インドの古典音楽ラーガとジャズを融合する個性的な音楽家です。新作のタイトルは、ヒンディー語で「休息」を意味するようです。

ハープやフルート、チェロにバイオリン、ウクレレにギターなどとのアコースティックなアンサンブルは、浄化効果がてきめんのヒーリング・ムードにつらぬかれています。

「Nightingale」は、スラック・ギター奏者ジム・”キモ”・ウエストとのデュオ演奏が美しい。安らぎに満ちた雨だれのようなピアノ奏法がユニーク。

ちなみに、今回「ベスト・グローバル・ミュージック・アリバム部門」の候補作に選ばれた『Sounds of Kumbha』は、インド伝統音楽の歌手/作曲家のシッドハンド・バティア(Siddhant Bhata)による作品ですが、ウエスト(プロデュース、ギター)とスリ(ピアノ)のふたりも制作に参加しています。

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2025年12月31日 (水)

第68回(2026)グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」ノミネート作品 ①

第68回(2026年度)グラミー賞の各部門賞候補作品が発表されました。毎年注目している「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム部門」は5作品が選ばれています。

その中に、ボブ・ジェームスとディヴ・コーズのコラボ作品『Just Us』が選ばれました。また、「ベスト・ジャズ・インストゥルメンタル・アリバム部門」では、イエロージャケッツの『Fasten Up』が選ばれています。両作品とも、当ブログで紹介した秀作です。もちろん、両作品の受賞を期待しています!

さて、「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム部門」の候補他4作品を紹介します。

1. 『Brightside』 ARKAI → ★受賞作品に選ばれました!

Brightsideニューヨークを拠点に活動するアルカイは、チェロ奏者フィリップ・シーゴク(Philip Sheegog)とバイオリン奏者ジョナサン・ミロン(Jonathan Miron)によるインストゥルメンタル・デュオです。ふたりともジュリアード音楽院の出身で、クラシックを基本にコンテンポラリーな要素を取り込んだ映像的でドラマチックな演奏曲が特徴です。

『Crossroads』 (2024)に続く2作目となる本作は、プログレッシブ・ロックからシンフォニー・タイプの組曲まで、ふたりの合作によるオリジナル楽曲を中心に作られています。シンフォニックな解釈でカバーした、ポール・サイモンの「The Sound of Silence」もふたりの音楽性を象徴したハイライト曲。

ちなみに、ふたりともアジア系アメリカ人で、フィリップは日本人のハーフ、ジョナサンは台湾人ハーフだそう。

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2025年1月 5日 (日)

第67回(2025)グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」ノミネート作品 ②

4. 『Mark』Mark Guiliana

ドラム奏者として高い評価を集めるマーク・ジュリアナの本作は、オリジナル楽曲を全てワンマン演奏で作り上げた作品です。

過去ソロ作で追及してきたビートやエレクトロニックでリズムの多様性を展開しつつ、みずから演奏するピアノや鍵盤楽器で旋律を際立たせる新境地を開いた力作。

静かに奏でるピアノの単音がみずみずしい「Costello」や、ピアノのソロを主役にしたバラード「Alone」は異才をしめす佳曲。セレナーデの趣きの「Peace, please」は極めつきの美曲。

グラミー賞でのノミネートは、第62回でノミネートされた『Beat Music! Beat Music! Beat Music!』(2019)に次ぐ2回目となります。

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2025年1月 1日 (水)

第67回(2025)グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」ノミネート作品 ①

第67回(2025年度)グラミー賞のノミネート作品が発表されました。「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」部門のノミネート作品は5作品で、下記に3作品を紹介します。(残り2作品は次回記事の予定)

1.『Plot Armor 』Taylor Eigsti ★ (追記)受賞作に選ばれました

ジャズ・ピアノ奏者テイラー・アイグスティは、『Tree Falls』(2021)で第64回(2022)グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」部門賞を受賞しました。

本作はその受賞作に続く新作で、前作の続編を思わせる作品。自身の鍵盤演奏だけでなく、客演の演奏家(ベン・ウェンデル、テレンス・ブランチャードら)や歌手(ベッカ・スティーヴンス、リサ・フィッシャーら)を役者のように配置したアレンジで場面の変化を構成した世界観がすばらしい。

「Bucket of F's」や「Plot Armor」は、痛烈なドラム・ビートが支えて、ピアノが変幻自在に共演者と呼応するエネルギッシュな重奏曲。前作でも発揮したスタイルを継承する好演です。

最後のスタンダードのカヴァー「Nancy With the Laughing Face」は日本盤のボーナス・トラックのようですが、アイグスティのピアノとベン・ウェンデルのサックスのふたりによる美しい好演が味わい深い余韻を残します。

 

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2024年1月 5日 (金)

第66回(2024)グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」ノミネート作品 ②

•『Jazz Hands』Bob James

キャリア60年越えを誇る大御所ボブ・ジェームスの新作は、ヒップホップ界からのアーティスト、ラッパー/歌手のシーロー・グリーンやターンテーブルリストのDJ・ジャジー・ジェフとの共演が話題となった久し振りのソロ名義アルバムです。

グリーンのボーカルをフィーチャーした「Jazz Hands」や、ジャジー・ジェフとキーボード奏者カイディ・テイサム(Kaidi Tatham)との共作「That Bop」は、ヒップ・ホップやブロークン・ビーツといった新潮流と融合してみせたハイライト曲。

近年のツアーで同行しているリズム隊、マイケル・パラッツォ(ベース)とジェイムズ・アドキンス(ドラムス)が今作でサポートを固めていますが、「The Alchemist」(パラッツォ作)はその3人の美技によるリリカルなポストモダン的ジャズ・アンサンブル。「The Otherside」のアコピや、「Mophead」でのフェンダー演奏は、長年聴きなれたジェームス印すいぜんのフレージングがひかります。

サックス奏者デイヴ・コーズが客演した「Come Into My Dream」や、ライヴ録音の「Sea Goddess」ではサックス奏者トム・ブラクストンが加わって、スムーズジャズ・ファンなら聴きのがせない好演。84歳にしてなおダイナミズムを失わない音楽性を発揮した傑作です。

 

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2023年12月24日 (日)

第66回(2024)グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」ノミネート作品 ①

第66回(2024年度)グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム部門」のノミネート5作品が発表されました。受賞作品の発表は、2024年2月4日です。→(24/2/5追記)『As We Speak』が受賞しました。

  • 『As We Speak』Béla Fleck, Zakir Hussain, Edgar Meyer, Featuring Rakesh Chaurasia

バンジョー奏者ベラ・フレックは、グルーグラスに留まらずジャズやロックにクラシックなど多様なジャンルを超えて活躍する音楽家。グラミー賞でも、カントリーやワールド・ミュージックなど異なる部門で多数の受賞を誇ります。

本作はフレックが、こちらもマルチ・ジャンルで活躍するベース奏者エドガー・メイヤー、インド出身のタブラー(インドの伝統的太鼓)奏者ザキール・フセイン、バンスリー(インドの伝統的バンブーフルート)奏者ラケーシュ・チョウラシアらと組んだ演奏集。フレック、メイヤー、フセインの3人はかつて共演アルバム『The Melody Of Rythm』(2009)を発表していて、今作は14年ぶりのリユニオンとなります。

インドや中央アジアの民族音楽を基軸に、4人が濃厚なインタープレイを展開します。フレックのバンジョーは、ブルーグラス楽器の属性を忘れさせる好演。

「Pashoto 」(フセイン作)では、タブラーとシンクロするパーッカッシブな奏法を披露するバンジョーは圧巻です。この曲は、今回「ベスト・グローバル・ミュージック・パフォーマンス部門」にもノミネートされています。

また、「ベスト・グローバル・ミュージック・アルバム部門」にノミネートされた『This Moment』は、ギター奏者ジョン・マクラグリンが率いる歴史的ユニット、シャクティの46年ぶり再結成スタジオ・アルバムで、こちらにはオリジナル・メンバーであるフセインが参加しています。

 

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2023年1月28日 (土)

第65回(2023)グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」ノミネート作品 ②

【23/2/6付追記:受賞作はスナーキー・パピーです(下記★印)スナーキー・パピーの受賞は、第63回グラミー賞での『Live At The Royal Albert Hall』に続いて、通算5回目となります。】

過日の記事に続いて、残りのノミネート2作品を紹介します。

⚫︎『Jacob's Ladder』Brad Mehldau

ジャズ・ピアノ奏者ブラッド・メルドーの本作は、ジャズの範疇にはおさまらないユニークなソロ作品です。
注目は、プログレッシブ・ロックの選曲です。「Jacob's Ladder」と「Tom Sawyer」は、カナダのバンド、ラッシュの楽曲。「Cogs in Cogs」は、イギリスのバンド、ジェントル・ジャイアントの曲。どちらも70年代から80年代初めに活躍したプログレッシブ・ロック系バンドの代表曲です。

メルドーはピアノに加えて各種シンセサイザーを演奏しています。シンセによるバロック的なソロ演奏もありますが、ボーカルやギターを交えて尖ったプログレッシブ・ロック・サウンドを組み立てています。イエスの「Starship Trooper」の一部や、現役プログレ/メタル・バンド、ペリフェリー(Periphery)の楽曲「Racecar」も構成に取り上げています。

メルドーのオリジナル曲「Herr und Knecht」では、ドイツ語の歌(叫び)が入りジャーマン・ヘヴィメタルな様相です。

メルドーのプログレッシブ・ロックへのオマージュといえる秀作です。

 

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2022年12月18日 (日)

第65回(2023)グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」ノミネート作品 ①

第65回グラミー賞各部門のノミネート作品が発表されました。「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」部門では5作品がノミネートされています。
受賞発表は、来年2月6日(米国)の予定です。

● 『Between Dreaming And Joy』 Jeff Coffin

ジェフ・コフィンは、25年越えのキャリアを誇るサックス奏者。バンジョーの名手ベラ・フレックや、ロックのデイヴ・マシューズ、スナーキー・パピーらと共演など、ジャンルを超えて活躍する演奏家です。
この新作は、自作のオリジナル曲を中心に、多数の名うてミュージシャンとコレクティブ的にリモートを駆使して制作されたようです。コフィンが操る多様なリード楽器(サックス、フルート、クラリネット、メロディカなど)演奏が聴きどころです。
「Vinnie the Crow」は、ファンクのうねりにターンテーブルのスクラッチを組み入れたヒップな楽曲。「Tip the Band」でのロベン・フォードのギター・ソロも聴きどころ。「Birds & Magic」では、なんとコーラのボトル(!)を吹いています。
コフィンのクロスオーバー的な音楽性と駆動力が発揮された力作です。

 

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2021年12月29日 (水)

第64回(2022)グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」ノミネート作品 ②

前記事に続いて、残りの2作品を紹介します。

4. Randy Brecker & Eric Marienthal『Double Dealin'』

ランディ・ブレッカー(トランペット/フリューゲルホルン)とエリック・マリエンサル(サックス)の、初めてのコラボ作品。プロデュースはジョージ・ウィッティ (キーボード)で、作曲/共作からバック・サウンドまで手掛けて本作の要になっています。数曲に、ジョン・パティトゥッチ(ベース)とデイヴ・ウェックル (ドラム)が参加しています。

マリエンサルは、チック・コリア・エレクトリック・バンドのメンバーとして80年代後半にキャリアをスタートしましたが、その時のバンド・メイトがパティトゥッチとウェックルでした。かたやウィッティは、ブレッカー・ブラザースのサポート・メンバーでした。70・80年代のフュージョン・シーンを盛り上げた顔ぶれが集まりました。

「Double Dealing'」は、ワウワウ・エフェクトのブレッカーとパワフルなマリエンサルが激突するベスト・トラック。
「Fast Lane」は、パティトゥッチとウェックルが固める鋭利なリズム・セクションと、ふたりの吹奏も尖ったインター・プレイが圧巻です。
「You Ga (Ta Give It)」は、ブレッカー・ブラザースの『Detente』(1980)に入っていた曲。ディスコ・ビート的なグルーヴに乗って、ふたりが交わすファンキーなバトルが聴きどころ。

現在進行形のスリリングなフュージョンが躍動する名演奏の作品です。

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2021年12月26日 (日)

第64回(2022)グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」ノミネート作品 ①

第64回(2022)グラミー賞「ベスト・コンテンポラリー・インストゥルメンタル・アルバム」部門賞のノミネート5作品が選ばれました。下記に3作品を紹介します。残りの2作品は、後日紹介します。

受賞作は、2022年1月31日(アメリカ時間)に発表される予定です。

(2022/4/7追記)当部門賞は、Taylor Eigstiが受賞しました。下記★印

1. Rachel Eckroth『The Garden』

レイチェル・エックロスは、シンガー・ソング・ライターとしてクロス・ジャンルなソロ作品を発表しているアーティスト。ジャズにもアプローチしたのが近作『The Blackbird Sessions Vol.1』で、ご主人のベース奏者ティム・ルフェーヴル (Tim Lefebvre)とのデュオでジャズのスタンダードを歌っています。

本作は、おそらく初めてのインスト・アルバム(1曲はボーカル入り)で、全曲でキーボード演奏を披露した意欲作です。

共演するアンサンブルは、ルフェーヴルに加えて、サックス奏者ダニー・マッキャスリン(Donny McCaslin)、ギター奏者ニア・フェルダー(Nir Felder)、ドラム奏者クリスチャン・ユーマン(Christian Euman)ら、いずれも気鋭のジャズ・ミュージシャンです。

「Vines」は、4ビートのビーバップからフリーにへ展開するジャズ演奏。エックロスのエレピ演奏が聴きどころです。「The Garden」は、スリリングなインタープレイと達者なアコピが交差する個性的な佳曲。「Oil」は、プログレッシブ・ロックのようで未知の自然界をイメージさせる独特の音楽世界です。

アバンギャルドな音像と伝統的なジャズも融合して、物語性に引き込まれる魅力的な作品です。

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